雲龍院

雲龍院（うんりゅういん）

京都府京都市東山区に位置する雲龍院は、真言宗泉涌寺派の寺院で、泉涌寺の別院として知られています。山号は瑠璃山、主祭神には薬師如来が祀られ、西国薬師四十九霊場の第40番札所および泉山七福神巡りの第5番札所である大黒天の霊場でもあります。

歴史的背景

雲龍院の創建は南北朝時代にさかのぼります。北朝の後光厳天皇の勅願によって、竹巌聖皐が開山し、応安5年（1372年）に龍華院と共に設立されました。皇室の帰依を受けながら発展したこの寺院は、後円融天皇や後小松天皇、称光天皇など多くの天皇から信仰を集めてきました。

しかし、文明2年（1470年）には応仁の乱による影響で全焼し、後光厳天皇と後円融天皇の尊像だけが焼け残る惨事を迎えました。その後、江戸時代初期には如周宗師が隣接する龍華院を併合し、寺院の再建が進められました。ここでは皇室との関係が特に深く、泉涌寺の中でも別格本山としての地位が与えられています。霊明殿には北朝歴代天皇の位牌が安置されています。

毎年1月の第2月曜日には泉山七福神巡りが行われ、その際には大黒天が奉祀される重要な祭典となっています。

伽藍と文化財

雲龍院の伽藍は、さまざまな重要文化財を有しています。中でも、龍華殿（本堂）は室町時代に後円融天皇により建立された後、一度焼失し、その後は後土御門天皇の寄進により再建されました。現在の堂は江戸時代に再建され、寄棟とこけら葺きの屋根が特徴です。この建物は国の重要文化財に指定されています。

霊明殿は1868年に再建され、皇族の位牌が納められています。また、不明門（正門）、庭園、書院、客殿、庫裡、鐘楼、鎮守社も見どころで、庭石には豊臣秀吉が建立した方広寺大仏殿の礎石を使用したものが含まれていると伝えられています。

さらに、雲龍院は数多くの文化財を所蔵しており、重要文化財のひとつとして本堂が挙げられます。その他にも鎌倉時代作の薬師三尊像や南北朝時代作の後光厳天皇・後円融天皇の尊像、大黒天立像など、多彩な仏像が安置されています。

永代供養と利用情報

雲龍院では霊園や寺院が遺骨の管理・供養を行う永代供養も取り入れられており、自動搬送式の納骨堂が設けられています。訪れる人々が手軽に利用できるように、開門時間は夏季が9:00から17:00、その他の季節は9:00から16:30となっています。また、所在地は京都府京都市東山区泉涌寺山内町36であり、JR奈良線・京阪本線の東福寺駅から徒歩約10分、または京都市営バスでのアクセスも便利です。

雲龍院は、その深い歴史と文化的価値から多くの訪問者に愛され続けています。

もう一度検索