雷電震右エ門

雷電震右エ門について

雷電震右エ門（らいでん しんえもん、1842年 - 1884年11月16日）は、能登国羽咋郡（現在の石川県羽咋市）出身の大相撲力士です。彼は千賀ノ浦部屋に所属し、現役時代にはその特異な体格と力強い取り口で注目を浴びました。本名は和吉で、後に楠和助に改名しています。

彼の力士としてのキャリアは、文久2年（1862年）ごろに江戸に移り、3代阿武松のもとに入門したことから始まります。1864年4月の場所で初めて土俵に上がり、その際には四股名を「槇割」と名乗っていました。続いて名を変えながらも、若くして才能を発揮し、姫路藩のお抱え力士として迎えられるほどの実力を持っていました。

完全な勝利を収めた年も多く、特に明治5年（1872年）から明治7年（1874年）までの三年間で34勝無敗という驚異的な戦績を誇ります。彼は明治10年（1877年）1月場所で大関に昇進するものの、その後病に悩まされ、わずか2場所での昇進となってしまいました。彼の病をきっかけに番付を下げ、1882年5月場所を最後に相撲界から姿を消しました。

彼の体格は177cm、体重125kgというもので、力強い突きや押しを得意としていました。特に梅ヶ谷と呼ばれる強豪相手にも当初は圧倒されることがなかったほどで、実力者として知られていました。さらに彼は四つ身においても一定の実力を発揮しましたが、相手に上手を握られると弱点を見せることもあったようです。これに加え、彼は飲酒や遊興をせず、相撲一本に専念する姿勢でも知られていました。

しかし、彼が横綱に昇進することはありませんでした。彼の風貌や人気は、他の力士、特に美貌を謳われた朝日嶽や綾瀬川に比べて劣っていたため、横綱の声もかからなかったと言われています。明治10年12月場所以降、彼の四股名は「阿武松和助」へと改名されましたが、実際には師匠の名跡を継ぐことはかなわなかった運命が待っていました。引退後も年寄として活動しようとしましたが、早逝してしまい、その後弟子が名乗ることになりました。

主な成績

• - 幕内在位：23場所
• - 幕内成績：96勝18敗15分5預90休 勝率.842

また、時代背景として、彼が活躍した当時は十両という地位が存在せず、幕内のすぐ下は幕下と呼ばれていました。そのため、彼が記録した成績や勝利数のデータは現代の相撲とは異なるコンテキストで語られることが多いです。彼の名は雷電の四股名を名乗った唯一の力士でもあり、その後は名跡が途絶えることとなりました。雷電震右エ門という名前自体が貴いものであったため、その歴史的な意義を理解することも求められます。天皇の即位とともに変化する日本の相撲界の中で、雷電震右エ門は、その短いながらも輝かしいキャリアで大きな足跡を残しています。

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