モールス符号

モールス符号とは

モールス符号（モールスふごう、英: Morse code）とは、電信などで用いられる可変長の符号化文字コードです。この符号を利用して送信された信号はモールス信号と呼ばれます。モールス符号は短点（・）と長点（－）を組み合わせ、文字や数字を表現します。これにより、多様な情報を効率的に伝達できる仕組みとなっています。さまざまな規格が存在し、国際電気通信連合（ITU）によっても標準化が進められています。

符号の特徴と使用方法

モールス符号は短点と長点の組み合わせにより、各文字を表現します。文の中では短点を「トン」、長点を「ツー」と表記することが多く、日本ではこの名称から「トンツー」と呼ぶことがあります。また、モールス符号は電信オペレーターだけでなく、音響や発光信号を利用した通信方法でも広く使用されていました。特に、船舶では回光通信や信号灯が一般的に用いられています。

モールス符号の歴史

モールス符号は、アメリカの発明家サミュエル・モールスにより1837年に最初の電信実験が行われたことから始まります。1840年には彼が改良した符号と電信機の特許を取得し、1844年にはワシントンからボルチモアへ向けての送信実験にも成功しました。これにより、モールス符号は広く普及し、多くの国で採用されることとなります。

1851年にはドイツで正式な標準化が行われ、さらに1868年には国際的な規格として承認される動きがありました。これにより、モールス符号は国際的な通信手段として確立されました。

通信手段としての変遷

20世紀前半まで、モールス符号は電報や文字通信で多用されましたが、1920年代から電信技術の進歩により、次第にテレタイプ端末やファクシミリ、電子メールなどの方式に取って代わられました。それでも、モールス通信は遠洋航海などの遭難信号や緊急通信において重要な役割を果たしました。

1990年代には通信衛星の導入により、モールス通信の役割は縮小しました。日本でも、海上保安庁やNTTグループなどの通信業務からモールス符号が撤退しましたが、一部の業界では使用が継続されています。

現代における使用例

現在もモールス符号は使用されており、特にアマチュア無線や一部の漁業無線、自衛隊での通信などで見ることができます。また、航空無線ではDMEやILS、VORなどがモールス符号を用いて信号を送信する重要な役割を果たしています。通信速度の表記には、短点の数に基づく指標（WPM）が用いられ、これによって実際の通信能力を示す指標として利用されています。

モールス符号の符号化方式

モールス符号は、非常に規則的に符号化されており、アルファベットや数字に応じた符号が定められています。特に、使用頻度の高い文字は短い符号で、逆に使用頻度の低い文字は長い符号で表示される特徴があります。和文モールス符号は国際規格と異なり、通信効率の面では劣る部分がありますが、日本語独自の符号体系が確立されています。

終わりに

モールス符号は、情報の伝達手段として歴史的にも重要な役割を果たしてきました。今後も特定の分野においては使われ続けるであろうこの符号は、通信技術の進歩に伴い、その表現方法や応用範囲を広げる可能性を秘めています。

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