霊山 (福島県)

霊山（りょうぜん）

霊山は、福島県伊達市と相馬市の境界にそびえる標高825mの山です。その美しい景観は、国の名勝や日本百景に選ばれるほどで、県立自然公園およびうつくしま百名山にも指定されています。また、南北朝時代の重要な城跡遺構としても国の史跡に指定されており、歴史と自然が織りなす魅力的な場所です。

概要

阿武隈高地の北部に位置する霊山は、玄武岩の溶岩台地であり、起伏に富んだ地形と奇岩が特徴的な岩山です。山には名前のついた巨岩や眺めの良い展望所が点在し、密教の祈りの痕跡も数多く残されています。特に「護摩壇」と呼ばれる場所は、荒々しい岩壁がえぐられるように形成されており、吾妻山や安達太良山方面の絶景を一望できます。相馬市方面の眺めも素晴らしく、訪れる人々を魅了します。

霊山の歴史は古く、859年（貞観元年）に慈覚大師円仁によって開山されました。山の名前は、釈迦が修行したインドの霊鷲山にちなんで円仁が名付けたと伝えられています。円仁が霊山寺を創建したことで、霊山は東北山岳仏教の聖地として発展しました。

南北朝時代には、北畠顕家がこの地を拠点とし、1337年8月に顕家が西国へ出陣した後、1347年に霊山城が落城するまで、歴史の表舞台で重要な役割を果たしました。

現在、霊山は遊歩道が整備され、気軽に登山を楽しめる山として親しまれています。弁天岩や天狗の相撲場、蟻の戸渡りなど、奇岩巡りを楽しむことができます。また、中通りと浜通りの境に位置する分水嶺の一端を成しており、西物見岩からは福島市街地や伊達郡、伊達市、東物見岩からは相馬市街地や相馬郡、太平洋まで見渡せる絶景が広がります。

秋には紅葉の名所としても知られ、毎年10月下旬から11月上旬にかけて多くの登山客で賑わいます。

霊山城

南北朝時代の1337年（延元2年）、北畠顕家が霊山城を築き、義良親王（後の後村上天皇）を奉じて陸奥国の国府を置きました。霊山城は、奥羽地方における南朝方の一大拠点として機能しましたが、北朝方が優勢になるにつれて南朝軍は追い詰められ、1347年（正平2年）についに落城しました。この落城以降、霊山が歴史の表舞台に再び現れることはありませんでした。

文化財指定

1934年（昭和9年）5月1日、「霊山」として国の史跡および名勝に指定されました。史跡としての指定区分は、都城跡、国郡庁跡、城跡などを含む「政治に関する遺跡」であり、名勝としての指定区分は、「岩石、洞穴」、「山岳、丘陵、高原、平原、河川」、「展望地点」となっています。

関連情報

政宗ダテニクル - 福島県を舞台にしたアニメ作品。

関連項目

北海道・東北地方の史跡一覧
日本の城一覧
伊達行朝（奥羽地域の南朝方の有力武将で、霊山一帯を支配していた）
大橋氏（宗良親王の末裔で、北畠顕家を祀る霊山神社の氏子総代を歴任）
菅野氏
大友氏
霊山県立自然公園

霊山は、豊かな自然と歴史が息づく魅力的な山です。ぜひ一度訪れて、その美しさを体感してみてください。

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