霧島昇

霧島昇の略歴と影響

霧島昇（きりしま のぼる）は、1914年6月27日に福島県大久村（現在のいわき市）で生まれ、本名は坂本榮吾です。彼は流行歌の先駆者として、戦前から戦後にかけて日本の音楽シーンで活躍しました。1979年には紫綬褒章を受章するなど、その功績は広く認められています。

音楽キャリアの始まり

幼少期は福島で農業を営む家族のもとで育った霧島は、小学校の卒業後に上京しました。最初はボクサーを目指しましたが挫折し、次第に音楽に興味を持つようになりました。テノール歌手の藤原義江に影響を受け、日本の歌曲を流行歌として歌いたいという夢を持ち、勤勉に音楽を学びました。彼は東洋音楽学校を卒業し、音楽の道を歩み始めます。

初期の活動

浅草のレビュー小屋で働きながら、エディソン・レコードから『僕の思い出』を吹き込み、1936年にコロムビアレコードに入社しました。デビュー曲『赤城しぐれ』は1937年にリリースされ、彼の名が広まり始めます。

大ヒット曲と結婚

霧島は1938年に映画『愛染かつら』の主題歌『旅の夜風』をミス・コロムビアと共に録音し、120万枚以上を売り上げる大ヒットに成功しました。この曲がきっかけで彼はミス・コロムビアと結婚し、以後も『一杯のコーヒーから』『愛染夜曲』『愛染草紙』など次々と大ヒットを生み出しました。

戦争と音楽

1943年には召集令状が届き大日本帝国海軍に入隊しました。霧島は艦隊の情報蒐集と宣伝を担当したとのことです。戦後、彼は戦時中の経験を生かして活動を続け、次々と新しい楽曲をリリースしました。彼が手がけた楽曲は社会風俗を反映し、多くの人々へ共感を与えました。

音楽家としての貢献と家族

霧島の歌は、ただのエンターテインメントを越え、戦中の兵士たちの心を癒し、後の世代にも影響を与えました。彼はNHK紅白歌合戦にも5回出場し、普段は無口で真面目な性格であったと言います。彼の妻である松原操との間には四人の子供が生まれ、子供たちも音楽の道を志しました。

最後の年と遺産

霧島昇は1984年に69歳で死去し、その数か月後に妻も亡くなりましたが、二人は東京都港区の長谷寺に合葬されています。彼の曲は今も多くの人々に親しまれ、福島県いわき市には『誰か故郷を想わざる』の歌碑が建立されるなど、霧島の遺産は生き続けています。彼の代表曲は今なお日本の音楽の中で重要な位置を占め、多くの後進にも影響を与えています。

もう一度検索