青い眼の人形 (映画)

『青い眼の人形』

『青い眼の人形』は、1926年に製作された日本のサイレント映画であり、現代劇の一例として評価されています。この作品は、ユニークな背景を持ち、監督のマキノ正博にとっては記念すべきデビュー作となりました。タイトルは、当時流行していた童謡『青い眼の人形』から取られています。

製作の背景

この映画は、マキノ・プロダクションによって制作され、マキノ正博が脚本を担当しました。彼は当時18歳で、監督としての道を歩み始めたばかりでした。この脚本を父親でありプロダクションの経営者である牧野省三に提出すると、周囲からも好評を得ました。しかし、最初の監督の予定は富沢進郎であり、彼が病気となったことから、急遽マキノ自身が監督をすることになりました。

作品の内容

物語は、ギャングに追われる父子の姿を描いています。父親役を演じるのは荒木忍、息子役は都賀一司です。この二人は、迫力ある演技で観客の心をつかみ、サスペンスを盛り上げます。映画自体は、全6巻から成り立っており、白黒のサイレント映画として製作されています。

撮影と公開

撮影は松田定次が手掛け、マキノ・プロダクション御室撮影所で行われました。映画は浅草の千代田館で初めて公開され、当時の観客に強い印象を残しました。マキノ自身は、試写の際に父の牧野省三から「タイトルは富沢進郎」と指名されることで、富沢名義での公開が決まりました。この背景には富沢が病気で降板したものの、彼の名前が作品に残ることを望んだ省三の意向があったと言われています。

作品の評価

公開当初、映画は好評を得ましたが、同年に富沢進郎が別の作品である『勝てば官軍』を公開したこともあり、ファンの間での評価が分かれることとなりました。マキノは後に、この作品が自らのキャリアに重要な扉を開いたと振り返ることになります。

キャストと主要スタッフ

映画には地元の俳優たちが力を合わせ、以下のようなキャストが揃っていました：

• - 荒木忍 - 老人内田幸吉役
• - 都賀一司 - その子和夫役
• - 鹿島陽之助 - 青年英謙二役
• - 東郷久義 - 探偵沖役
• - 広田昴 - 無頼漢主領健造役
• - 時岡八千代 - その妻敬子役
• - 五十川鈴子 - 孤児千ちゃん役

このように『青い眼の人形』は、マキノ正博の映画人生のスタートを飾る作品として、歴史の中に名を刻んでいます。今なお、その魅力は古典的な映画ファンに語り継がれています。

もう一度検索