青山アパートメント

同潤会青山アパートとは

同潤会青山アパートは、大正時代から昭和初期にかけて建設された同潤会アパートの一つで、東京・表参道に位置していました。1926年に第一期、1927年に第二期が竣工し、その洗練されたデザインと立地から、当時としては珍しい高級アパートメントとして注目を集めました。2003年に惜しまれつつも解体され、現在は複合商業施設「表参道ヒルズ」がその跡地に建てられています。

歴史と特徴

建設当時、青山アパートは軍人、役人、大学教授など、社会的地位の高い人々が住む場所でした。表参道の新たなランドマークとして、観光バスが立ち寄るほどの人気を誇りました。しかし、表参道が天皇の通行路であったため、住人は窓から見下ろすことを許されず、カーテンを閉める必要があったという逸話も残っています。

太平洋戦争末期の東京大空襲では、青山・原宿一帯が焼け野原となる中、同潤会青山アパートは鉄筋コンクリート造りの堅牢な構造によって焼け残りました。戦災で家を失った人々にとって、アパートは貴重な住居となり、敷地内の井戸は生活用水として住民だけでなく地域住民にも開放されました。また、ほとんどが焼失した表参道のケヤキ並木も、アパート前の数本は奇跡的に焼け残り、防火壁としての役割を果たしました。

戦後、同潤会アパートは東京都に引き継がれ、その後、各部屋が住民に払い下げられました。1960年代以降、原宿・表参道がファッションの中心地として発展すると、アパートの部屋はブティックやギャラリーとしても利用されるようになりました。

しかし、建物の老朽化が進み、住民からは建て替えを求める声が大きくなりました。各方面から保存を求める声もありましたが、2003年に解体されることとなりました。

現在

跡地には2006年に複合商業施設「表参道ヒルズ」がオープンしました。表参道ヒルズの東端には、同潤会青山アパートの部材を再利用した「同潤館」が建設され、かつての面影を今に伝えています。

同潤会青山アパートは、その歴史と建築的価値から、多くの人々に愛され、記憶されるべき建造物でした。その解体は惜しまれますが、跡地に建てられた表参道ヒルズと、一部に旧アパートの面影を残す同潤館によって、その歴史は今も語り継がれています。

詳細情報

建設: 1926年（第一期）、1927年（第二期）
所在地: 現在の東京都渋谷区神宮前四丁目
敷地面積: 6,080平方メートル
構造: 鉄筋コンクリート造3階建て10棟
特徴: 当時としては珍しい高級アパートメント、戦災を生き残った耐震耐火構造、表参道のランドマーク
解体: 2003年
跡地: 表参道ヒルズ（2006年竣工）
関連施設: 同潤館（表参道ヒルズ内）

関連情報

関連項目: 渋谷アパートメント（同潤会アパート）、同潤会、住宅営団
外部リンク: 神宮参道のアパート - 青山アパート 『土木建築工事画報』

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