青山圭男

青山圭男（あおやま よしお）

プロフィール

青山圭男は、1903年1月9日に京都府で生まれ、1976年8月27日に東京で生涯を閉じた日本の演出家、振付師です。本名は青山小次郎。舞踏家としては橘流の名取であり、橘左山を名乗っていました。

経歴

宝塚歌劇団時代: 1919年、小林一三が設立した「男子養成会」の第一期生として宝塚入り。初期の宝塚歌劇団を支える重要なメンバーでした。
松竹歌劇団時代: 1922年、松竹楽劇部生徒養成所の発足時に舞踊担当の講師として着任。1925年には、マクレツォワ夫人の抄演版『白鳥の湖』で王子役を演じました。
国際的な活躍: 1934年に渡欧し、映画出演や歌劇公演の演出補佐を経験。1935年には、オーストリア・トビス社の音楽映画『恋は終わりぬ』に客演。ドイツ・ベルリン国立歌劇場での歌劇『蝶々夫人』の制作にも関与しました。
オペラ演出家として: 1948年、藤原歌劇団でオペラ演出家としてのキャリアを開始。『セビリアの理髪師』を手始めに、数多くのオペラ作品を演出しました。特に『蝶々夫人』の解釈と演出においては、国内外で高い評価を受けています。

『蝶々夫人』との関わり

青山圭男は、『蝶々夫人』の演出に特別な情熱を注ぎました。1954年の帝国劇場でのミュージカル『蝶々さん』、日伊合作映画『蝶々夫人』の演出も担当。1958年には、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で『蝶々夫人』を演出、国際的な評価を確立しました。

このメトロポリタン歌劇場での公演では、指揮をディミトリ・ミトロプーロス、蝶々夫人をアントニエッタ・ステッラ、ピンカートンをエウジェニオ・フェルナンディが務めるという豪華なキャストが実現しました。青山はこの公演後もメトロポリタンで数々の作品を演出しました。

1973年、東京文化会館での東敦子主演『蝶々夫人』の演出では、「日本に対する誤解に満ちた蝶々夫人を観るのは日本人として忍びない」と述べつつ、作品の持つ異国情緒を追求。「リアリズムの追求は、ファンタジーの追放ではないか？」という問いを投げかけ、「これからはこのオペラに現実の生活に即したFANTASYを発見したい」と語り、独自の解釈を示しました。

死去

1976年8月27日、東京・港区にて逝去。享年73歳。

参考文献

* 新国立劇場纂　企画展「青山圭男と蝶々夫人」資料　1998年9月5日発行　監修：小石新八　武蔵野美術大学教授（当時）

もう一度検索