青春ア・ゴーゴー

1966年、日活によって製作された日本のロック・ミュージカル映画、それが『青春ア・ゴーゴー』です。

森永健次郎が監督を務めた本作は、当時の若者たちの間で巻き起こっていたエレキブームを背景に、音楽に情熱を燃やす若者たちの青春を描いています。脚本は伊奈洸と千葉茂樹、撮影は山崎善弘、音楽は伊部晴美、美術は大鶴泰弘など、当時の日活を代表するスタッフが制作に携わりました。

物語は、予備校に通いながらもエレキバンド結成の機会を虎視眈々と伺っていたサトルとケンイチを中心に展開します。ある時、彼らはジャズ喫茶で活躍する人気バンド「ザ・スパイダーズ」の迫力ある演奏に圧倒され、強い感銘を受けます。同じ場所で偶然出会ったヒロシ、イチロー、イサムといった仲間たちと意気投合した二人は、ついに5人組のエレクトリックバンド「ヤングアンドフレッシュ」を結成することを決意します。

彼らは人目を避けるように廃教会を練習場とし、来る日も来る日も熱心に練習に打ち込みます。そんな彼らの前に現れたのが、美しい歌声を持つ少女、ユリコです。ユリコもバンドに加わり、6人となった「ヤングアンドフレッシュ」は、大きな目標に向かって歩み始めます。それは、エレキギターバトルに出場し、優勝することで「ザ・スパイダーズ」との共演を果たすという夢でした。

コンテストに参加した「ヤングアンドフレッシュ」は、その才能と情熱で次々と勝利を重ねていきます。6週、7週と勝ち進み、ついに決勝戦の舞台へと駒を進めます。迎えた決勝戦の日、緊張感が漂う中、彼らの渾身の演奏が始まりました。響き渡る力強いビートと、ユリコの情感豊かな歌声が会場全体を魅了し、熱気は最高潮に達します。夢の舞台で繰り広げられる彼らのパフォーマンスは、観る者に感動を与えずにはいられません。

本作の主要キャストには、「ヤングアンドフレッシュ」のメンバーとして浜田光夫（サトル）、和田浩治（ヒロシ）、山内賢（ケンイチ）、木下雅弘（イチロー）、杉山元（イサム）といった当時の人気若手俳優たちが名を連ねています。紅一点の歌姫、入江ユリ子を演じるのはジュディ・オング。その魅力的な歌声で物語に華を添えています。また、エレキブームを牽引していた「田辺昭知とザ・スパイダーズ」も本人役で登場し、映画に一層のリアリティと活気を与えています。その他、西尾三枝子、太田雅子、下條正巳、菅井一郎、藤村俊二など、実力派俳優たちが脇を固め、物語を豊かに彩っています。

映画を盛り上げる楽曲も本作の見どころの一つです。ザ・スパイダーズによる主題歌「青春ア・ゴーゴー」をはじめ、「フリ・フリ'66」、「ビター・フォー・マイ・テイスト」、「ノー・ノー・ボーイ」、「リトル・ロビー」といった数々のエレキサウンドが鳴り響きます。また、ジュディ・オングが歌う「セイ・ママ」も印象的です。これらの楽曲は、青島幸男、かまやつひろし、阿久悠といった当時の著名な音楽人たちによって生み出されました。

『青春ア・ゴーゴー』は、エレキミュージックという当時の流行を取り入れつつ、若者たちが共通の夢に向かって仲間と協力し、困難を乗り越え成長していく姿を瑞々しく描いた青春映画の傑作と言えます。なお、本作は『哀愁の夜』と同時上映されました。

当時の音楽シーンの熱気と、若者たちの純粋な情熱が詰め込まれた本作は、今なお多くの人々に愛されています。

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