青春一座 (映画)

青春一座

概要

1939年に公開されたアメリカ合衆国のミュージカル映画『青春一座』（原題: Babes in Arms）は、1937年の同名ブロードウェイ・ミュージカルを原作としています。巨匠バスビー・バークレーが監督を手がけ、当時の人気子役スターであったミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドが主演を務めました。この作品は、二人にとって『サラブレッド・ドント・クライ』に続く二度目の共演となり、その後の数々のヒット作につながる名コンビ誕生のきっかけとなりました。

ハリウッド映画化にあたり、原作のブロードウェイ版から脚本は大幅に改訂・再構築されており、特にリチャード・ロジャースとロレンツ・ハートによる楽曲は、ほとんど使用されずに新たな楽曲が追加されています。時代の流れに取り残されつつあるヴォードヴィルの子供たちが、自らの力で道を切り拓こうとする物語は、公開当時大きな成功を収めました。

あらすじ

物語は1921年、ヴォードヴィリアンのジョー・モランに息子ミッキーが誕生するところから始まります。しかし、時代は移り1928年、映画の台頭によってヴォードヴィルは衰退の一途をたどっていました。息子のミッキー・モランは音楽の才能を発揮し、「Good Morning」を作曲、パッツィ・バートンがその曲を歌います。ミッキーはこの曲を売却し、得たお金でパッツィにピンをプレゼントし、二人の間に淡い恋心が芽生えます。ミッキーは両親が自分たち子供を置いて巡業に出ようとしていることを知り、反発。パッツィや妹のモリーと共に歌やダンスを披露して同行を願いますが、両親は聞き入れません。

ミッキーは、子供たちだけでショーを上演することを決意。しかし、大人たちは反対し、マーサ・スティールは子供たちの状況を裁判官に訴えようとします。ジョン・ブラック裁判官は子供たちに理解を示しますが、両親の巡業が失敗に終わり、子供たちが施設に送られる可能性が浮上します。ミッキーはショーの費用を調達しようと奔走し、子役スターのベイビーに協力を求めます。ベイビーは費用を肩代わりする代わりに主役を要求。ミッキーはベイビーを主役にしたリハーサルを進めますが、パッツィはミッキーとベイビーの関係に心を痛め、一座を去ります。

パッツィは母親の説得もあり、子供たちが施設送りを免れるためにミッキーがショーを企画している真意を知って一座に戻ります。しかし、ベイビーが父親によって降板させられたため、パッツィが代わって主役を務めることになります。ショーは開幕しますが、嵐に見舞われ観客が離れていきます。追い打ちをかけるように、ミッキーは父が俳優を辞めたことを知ります。しかし、プロデューサーのマドックスからショーを気に入ったという手紙が届き、希望が見出されます。

クライマックスのショーは、反ファシズムとフランクリン・ルーズベルト大統領夫妻を風刺する斬新な演出で幕を開けます。ミッキーがルーズベルト大統領、パッツィがエレノア夫人を演じ、群舞と共に「God's Country」を合唱して締めくくられます。ショーの成功は、子供たちの努力と才能が報われたことを示唆しています。

主要キャスト

ミッキー・モラン: ミッキー・ルーニー
パッツィ・バートン: ジュディ・ガーランド
ジョー・モラン: チャールズ・ウィニンガー
ジョン・ブラック裁判官: ガイ・キビー
ロザリー・エセックス（ベイビー）: ジューン・プレイザー
フロリー・モラン: グレイス・ヘイズ
モリー・モラン: ベティ・ジェインズ
ドン・ブライス: ダグラス・マクファイル
* マーサ・スティール: マーガレット・ハミルトン

制作・楽曲

本作は、振付師としても著名なバスビー・バークレーにとって、MGMで初めて一本の映画全体を監督した作品です。プロデュースはMGMのアーサー・フリード・チームが担当しました。撮影はジュディ・ガーランドとマーガレット・ハミルトンが『オズの魔法使』の撮影を終えた直後の1939年5月に開始され、7月18日に終了しました。

楽曲面では、原作で使用されたロジャースとハートの楽曲は、「Where or When」やディナーシーンの背景音楽としての「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」など、わずかしか使われませんでした。代わりに、アーサー・フリードとナシオ・ハーブ・ブラウンによる新曲「Good Morning」が本作のために書き下ろされ、この曲は後に映画『雨に唄えば』でも使用され有名になります。また、ハロルド・アーレンとエドガー・イップ・ハーバーグ作詞作曲の「God's Country」がフィナーレを飾りました。原作のロジャース＆ハート作品「I Wish I Were in Love Again」や、本作でも使用された「Johnny One Note」は、後に1948年の映画『ワーズ&ミュージック』でルーニーとガーランドによって歌唱されています。さらに、1921年のミュージカル『Shuffle Along』の楽曲「I'm Just Wild About Harry」も取り入れられました。

劇中のミュージカル・シーンはステレオで収録されましたが、公開時はモノラルサウンドでした。しかし、近年のホームビデオではオリジナルのステレオ音源で提供されることもあります。

特筆すべき制作上の出来事として、公開当初のフィナーレには、ルーニーとガーランドによるルーズベルト大統領夫妻の風刺が含まれていましたが、1945年のルーズベルト大統領死去後、このシーンは編集でカットされました。一時は失われたと思われていましたが、1990年代に16mmリールが発見され、修復されたバージョンで鑑賞することが可能になりました。

評価・受賞

1939年10月13日にプレミア公開された本作は、その年の最もヒットした映画トップ10の一つに入る商業的な成功を収めました。MGMの記録によると、全世界で300万ドル以上の興行収入を記録し、多大な利益をもたらしています。批評家からの評価も高く、映画レビューサイトRotten Tomatoesでは、高い満足度を示しています。

第12回アカデミー賞では、当時19歳だった主演のミッキー・ルーニーが史上2番目の若さで主演男優賞にノミネートされ、ロジャー・イーデンスとジョージー・ストールが作曲賞にノミネートされました。これにより、ルーニーはその後の輝かしいキャリアにおける最初期のアカデミー賞候補となりました。

本作は後にホームメディアとしても展開され、1992年にはVHSでリリースされました。2007年には、ワーナー・ブラザースから発売されたミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドの共演作を集めたDVDセットに収録され、再び多くの映画ファンに届けられています。

『青春一座』は、ヴォードヴィルからミュージカル映画への転換期を描きながら、若者の夢と才能、そして友情や恋愛を描いた、時代を超えて愛されるミュージカル映画の傑作です。

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