静岡鉄道秋葉線

秋葉線の歴史と概要

秋葉線（あきはせん）は、静岡県袋井市の新袋井駅から周智郡森町の遠州森町駅に至る静岡鉄道（静鉄）の軌道線であり、1962年にその運行を終えました。この路線は、袋井市の中心部を抜け、山間部を走り抜けるという特色を持ち、地域の交通の重要な役割を果たしていました。

路線の経路と特徴

路線は国鉄袋井駅前に位置する新袋井駅を起点として、森街道に沿って敷かれていました。袋井市の中心部を通り抜け、北部の山梨集落を経由して森町へと向かうルートで、専用軌道と未舗装の併用軌道が入り混じっていました。電車は全長約9メートルの小型で、客車や貨車を牽引していましたが、乗客は貨物専用プラットフォームから木製の踏み台を用いて乗降していたのです。

路線データと運行実態

秋葉線は、1962年9月の廃止時点での営業距離が本線12.1km、可睡支線1.1kmで、全線が単線かつ電化区間でした。電圧は直流600Vで、複線区間は存在しませんでした。運行間隔はほぼ毎時1、2本であり、所要時間は袋井駅前から遠州森町まで約43分でした。特に1940年には可睡口から可睡間を3分で移動するサービスがありました。

歴史的背景

この路線は、周智郡の農産物を東海道本線の駅へ輸送するために、1902年に秋葉馬車鉄道として開業しました。1911年には可睡支線も設けられ、利用者を惹きつけましたが、第一次世界大戦後の経済環境の変化によって、馬車鉄道の輸送能力に限界が生じていました。その結果、1923年に静岡電気鉄道に吸収され、電化と1067mmの軌間への改軌が実施されました。

戦後の状況と廃止

第二次世界大戦後の食糧不足に伴い、沿線住民の買出し客が押し寄せ、運行は賑わいました。ただし、1950年代からはモータリゼーションの影響で輸送量が減少し、1962年には廃止されることとなります。廃止後は代替バスが運行され、バス事業が分社化された1996年には、秋葉バスサービスがその路線を担当しています。

車両と改造の歴史

秋葉線では、すべての車両が木造で、初期にはドアのないオープンデッキの電動客車が使用されていました。1946年から1950年にかけて、車両の改造が行われ、一部にはドアが追加されることになりました。また、パンタグラフへの改装やボギー車化（台車の改造）が進められるなど、変遷を経て今に至っています。

廃止後の状況と遺構

秋葉線の廃止後、線路跡の多くは道路に転用され、敷地が整理される場面も多々ありましたが、一部の区間では沖ノ川橋梁が道路橋として利用されています。また、元の駅舎もバス待合所としてしばらく残存していましたが、最終的には解体されました。かつての名残を探しに行くと、秋葉線の存在を今に伝える場所もまだ存在します。

文化における秋葉線

秋葉線は、内田康夫の推理小説『箱庭』の舞台にも登場するなど、文化的な側面でも注目されています。このように、秋葉線は地域の歴史に深く根差した存在であり、現在においても、その記憶を紡ぎ続けています。

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