非24時間睡眠覚醒症候群

非24時間睡眠覚醒症候群

非24時間睡眠覚醒症候群は、概日リズム睡眠障害の一種で、人間の持つ体内時計が24時間の明暗周期に同調しないために起こります。その結果、入眠や起床時間が毎日少しずつずれ込み、不眠や日中の過眠といった症状が現れます。

症状

典型的な症状としては、入眠時間が毎日約1時間ずつ遅れていくことが挙げられます。そのため、夜なかなか寝付けず、日中は強い眠気に襲われるという状態に陥り、社会生活に支障をきたすことがあります。具体的には、以下のような症状が現れます。

夜間の不眠
日中の過眠
注意力の低下
集中力低下
疲労感、倦怠感

これらの症状は、睡眠リズムがずれている間のみに現れ、リズムに合わせて生活すれば症状は軽減されます。しかし、社会生活においては、一定のリズムで活動することが求められるため、適応が困難となる場合があります。

原因

全盲の患者に多く見られることが知られていましたが、視覚に障害のない人でも発症することがあります。原因としては、光による体内時計の調整がうまくいかないことが考えられています。また、睡眠相後退症候群との関連も指摘されており、移行するケースも確認されています。男性や、思春期から青年期にかけての人に多い傾向があります。

治療

治療の基本は、生活習慣の改善と薬物療法です。

生活習慣の改善

日中に活動量を増やす（外出、散歩など）
規則正しい食事
一定時刻に入床する

これらの生活習慣を意識することで、体内時計を外界の刺激に同調させることが期待できます。

光療法

朝の一定時刻に光を浴びることで、体内時計をリセットし、睡眠リズムを整える効果があります。

薬物療法

メラトニン：睡眠の位相を調整する作用があり、夕方の一定時刻に服用することで、睡眠リズムを前進させることができます。
タシメルテオン：非24時間睡眠覚醒症候群に有効性が認められている薬です。

睡眠薬は根本的な解決にはならないため、使用は慎重に検討する必要があります。

合併症

非24時間睡眠覚醒症候群を発症後、うつ病などの精神疾患を合併するリスクが高まることが指摘されています。これは、睡眠リズムの乱れが、気分の調整に関わる神経伝達物質であるセロトニンの機能に影響を与えるためと考えられています。

参考文献

* 非24時間睡眠覚醒症候群　厚生労働省,2016年2月20日閲覧。

もう一度検索