韋叡

韋叡（い えい）

韋叡（442年 - 520年）は、南朝宋から梁にかけての武将であり、字は懐文、本貫は京兆郡杜陵県です。前漢の丞相である韋賢の末裔にあたります。

生涯

韋叡は、名門の家柄に生まれました。幼い頃から学問を好み、継母に孝養を尽くすことで評判を高めました。伯父の韋祖征は、彼の才能を高く評価し、我が子のように可愛がったと伝えられています。

465年、雍州刺史の袁顗の主簿となりますが、袁顗が反乱を起こしたため、韋叡は事前に義成郡へ赴任し難を逃れます。477年には、荊州刺史の沈攸之の反乱鎮圧に柳世隆に従い郢城を守備し、乱の平定後に前軍中兵参軍となりました。その後、広徳県令、斉興郡太守、雍州別駕、長水校尉、右軍将軍を歴任します。

南朝斉末期、各地で反乱が頻発するようになると、韋叡は上庸郡太守を志願し、雍州刺史の蕭衍（後の梁の武帝）と親交を深めます。500年、蕭衍が蕭宝巻に対して反乱を起こすと、韋叡は郡の人々に筏を作らせ、兵を率いて蕭衍のもとへ駆けつけました。蕭衍が郢州一帯を制圧するにあたり、韋叡の献策は大きく貢献し、江夏郡太守・行郢州府事に任じられます。籠城により病に苦しむ人々を救済したため、領民からの信頼も厚かったとされています。

502年に梁が建国されると、廷尉に任じられ都梁県子に封じられ、翌年には太子右衛率となります。その後、輔国将軍・豫州刺史・歴陽郡太守を歴任しました。

505年、北魏討伐の命を受け、合肥城を水攻めにして陥落させます。506年には、北魏の大軍が鍾離を攻め、北徐州刺史の昌義之を包囲しますが、韋叡は曹景宗と共に鍾離救援に赴き、北魏軍を撃退します。淮水に架けられた北魏軍の橋を焼き払い、鍾離の危機を救いました。この功績により侯に進爵し、通直散騎常侍・右衛将軍に任じられます。

その後も、左衛将軍、安西長史、南郡太守、司州刺史、信武将軍、江州刺史、員外散騎常侍、右衛将軍、左衛将軍、太子詹事、通直散騎常侍、智武将軍、丹陽尹、中護軍、平北将軍、寧蛮校尉、雍州刺史など数々の要職を歴任しました。516年に引退を願い出ますが許されず、518年には散騎常侍・護軍将軍に任じられ、鼓吹一部を与えられました。520年、侍中・車騎将軍に任じられますが、病を理由に辞退し、同年8月に79歳で亡くなりました。武帝は彼の死を深く悼み、侍中・車騎将軍・開府儀同三司を追贈し、厳と諡しました。

韋叡は、体が弱く戦場で馬に乗ることはありませんでしたが、常に儒服をまとい輿に乗り、竹の如意で軍を指揮しました。将兵への思いやりを忘れず、常に兵士たちのことを気にかけていたため、兵士たちは彼によく従ったと伝えられています。戦功に頓着しない謙虚な姿勢は、世間の賞賛を集めました。慈愛に満ちた人柄で人々を治め、どの職にあっても常に成果を上げました。朝廷では穏やかで慎み深く、武帝からの信頼も厚く、敬意をもって遇されました。

子孫

韋叡には多くの子がおり、それぞれが名を残しています。

韋放
韋正（字は敬直）
韋棱（字は威直）
韋黯（字は務直）

また、孫には以下の人物がいます。

韋粲
韋載
韋鼎

伝記資料

『梁書』巻12 列伝第6
* 『南史』巻58 列伝第48

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