順化皇城

フエ皇城：ベトナムの歴史を語る壮大な古都

フエ皇城（ホアンタイン・フエ、ベトナム語: Hoàng thành Huế）は、ベトナム中部のトゥアティエン・フエ省フエ市に位置する、かつての阮朝の都です。また、「大内」（ダイノイ、ベトナム語：Đại Nội）とも呼ばれるこの場所は、ベトナムに現存する最大の古代建築群として知られています。その歴史は19世紀初頭に遡り、阮朝の繁栄と変遷を今に伝える貴重な遺産です。

歴史

1801年、阮朝の創始者である嘉隆帝（ザーロン帝）は、富春（フースアン）を制圧し、ここを阮朝の首都と定めました。嘉隆帝は、ヴォーバン様式に基づいた星型の城郭を持つ皇城の建設を計画しました。1805年には、それまで嘉定（ザーディン）にあった太和殿（タイホアドン）がフエに移され、順化皇城の建設が開始されました。

阮朝時代のフエは、中国文化の影響を受けたキン族文化に、チャム文化の要素も取り入れながら発展しました。この文化的融合は、フエ皇城の建築様式にも色濃く反映されています。第4代皇帝の嗣徳帝（トゥドゥク帝）は、歴史書『大南寔録』（ダイナム・ティク・ルック）を編纂させたことでも知られていますが、同時に大規模な建築事業も行いました。現存する王宮や郊外の帝陵の多くは、この嗣徳帝の時代に整備されたものです。

1883年、フエはフランスによって占領され、この地で条約が締結されました。第二次フエ条約（パトノートル条約）によってベトナムは大南がフランスの保護国となりましたが、阮朝の皇帝は第二次世界大戦末期まで皇城に居住し続けました。1945年8月24日、最後の皇帝である保大帝（バオダイ帝）が退位を宣言し、フエを去ったことで、阮朝は滅亡しました。保大帝は、この皇城に住んだ最後の阮朝皇帝となりました。

フエ皇城の特徴

フエ皇城は、周囲約10kmに及ぶ城壁に囲まれた広大な敷地の中に、王宮や廟、庭園などが配置されています。その建築様式は、中国の紫禁城の影響を受けつつも、ベトナム独自の文化的な要素を取り入れた独特なものです。特に、太和殿や紫禁城（トゥカムタン）は、その壮麗な建築美で知られています。

フエ皇城の現在

現在、フエ皇城はユネスコの世界遺産に登録されており、多くの観光客が訪れるベトナムを代表する観光地となっています。皇城内には博物館も設置されており、阮朝の歴史や文化に関する展示を見ることができます。

フエ皇城は、ベトナムの歴史と文化を深く理解するための重要な場所であり、その壮大な建築と歴史的な背景は、訪れる人々を魅了し続けています。かつての都の栄華を今に伝えるこの場所は、ベトナムを訪れる際には外せないスポットの一つと言えるでしょう。

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