須磨 (砲艦)

須磨（すま）

須磨は、日本海軍において太平洋戦争中に運用された砲艦です。この艦は、イギリス海軍の河用砲艦インセクト級「モス（Moth）」を基にしており、開戦当初の香港攻防戦で日本軍に鹵獲されて修理され、その後日本海軍に編入されました。艦名は神戸市にある景勝地「須磨」に由来しており、明治時代に建造された防護巡洋艦に次いでこの名を持つ艦船は2隻目となります。須磨は、日本海軍が運用した河用砲艦の中でも最大の艦でした。

艦歴

須磨は1916年にイギリスのサンダーランド造船で完成しました。太平洋戦争が始まった当初、モスは香港のネービーヤードで修理中でしたが、日本軍の攻撃を受けて工員が逃げ出したため、修理は不可能になりました。その結果、主砲以外の全ての砲は取り外されて陸揚げされ、モスは1941年12月初旬にドック内で自沈したのです。

その後、日本軍が香港を占領した際にモスを鹵獲し、浮揚しました。日本海軍の第二工作部によって修理が行われ、1942年7月1日に日本海軍の艦籍に編入され「須磨」と命名されました。須磨は砲艦に類別され、佐世保鎮守府籍で支那方面艦隊隷下の第二遣支艦隊に配属されました。艦長には旭龍雄少佐（海兵53期）が就任しましたが、当初は兵装が不足していたため、7月20日から上海で艦船の工事が再開されました。この工事では武装の強化、艦橋の大型化、兵員室の設置などが行われ、10月3日に完了しました。その結果、須磨は後に長江流域での哨戒作戦に参加するようになりました。

1943年7月、須磨は香港での修理中に3日間の空襲を受け、28日には爆弾が近くに落下しましたが不発でした。1944年12月26日には安慶で敵の攻撃を受けて後部の25mm機銃座が破壊され、犠牲者も出る事態となりました。

1945年3月14日、須磨は「鳴海」と共に上海から安慶へ向けて出港しました。江陰で掃海作業のため一時待機した後、3月19日に出港したものの、その日の15時26分には天申橋の下流で触雷し、結果的に沈没してしまいました。乗組員は駆けつけた「鳴海」によって救助されました。最後に須磨は1945年5月10日に除籍されました。

艦長の歴任

須磨の艦長には以下のような人物が就任していました。

• - 旭龍雄 少佐/中佐：1942年7月1日 - 1944年10月10日
• - 田中嘉平治 中佐：1944年10月10日 - 1945年4月1日

このように、須磨は実戦の中で様々な役割を果たし、その艦歴を通じて海軍の一翼を担いました。艦名の由来や艦長の歴任についても、須磨の物語を語る上でも重要な要素となっています。

参考文献

• - Conway All The World's Fightingships 1906–1921（Conway）
• - Conway All The World's Fightingships 1922-1946（Conway）
• - 雑誌「丸」編集部『写真｜日本の軍艦　第9巻　軽巡Ⅱ』光人社、1990年。
• - 田村俊夫『英国砲艦「モス」の後身、帝国海軍の軍艦「須磨」』
• - 『歴史群像　太平洋戦史シリーズ45』学習研究社、2004年

須磨は、日本海軍の歴史の中で特異な位置を占める艦艇として語り継がれています。

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