頤和園

頤和園：皇帝の庭園が織りなす歴史と絶景

頤和園は、中国北京市海淀区に位置する広大な庭園公園です。その面積は297ヘクタールにも及び、広大な人工湖である昆明湖と、高さ60メートルの人工の山、万寿山が特徴的です。1998年にはユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録され、中国の5A級観光地としても認定されています。

歴史：皇帝たちの庭園

頤和園の歴史は古く、金朝の時代に遡ります。1153年には、現在の頤和園内に金山行宮が設置されました。元朝時代には、水運整備のために水源開発が行われ、宮廷で使用する水が確保されるとともに、水運のための貯水池としての役割も果たしました。

明代になると、皇室の庭園としての利用が始まりました。正徳帝は湖畔に行宮を建設し「好山園」と命名しました。また、「甕山」を「金山」と、「甕山泊」を「金海」と改名し、舟遊びを楽しまれたと言われています。

現在の頤和園の原型が作られたのは、清朝の乾隆帝の時代です。乾隆帝は、母の還暦を祝うために庭園を整備し、「清漪園」と名付けました。昆明湖は、漢武帝が水軍の訓練を行った昆明池にちなんで命名されました。また、湖の掘削で発生した土砂を利用して万寿山が築かれました。清漪園は、美しい景観と壮大なスケールで、乾隆帝のお気に入りの場所となりました。

しかし、道光年間以降は国力の衰退とともに清漪園は荒廃し、アロー戦争では戦場となり、隣接する円明園とともに大きな被害を受けました。

その後、西太后が清漪園の再建に着手し、1884年から1895年にかけて大規模な改修が行われました。完成後、庭園は「頤和園」と改称されました。しかし、この再建費用は海軍予算から流用されたものであり、日清戦争敗北の一因になったとも言われています。

義和団の乱でも一部破壊されましたが、その後修復され、中華民国成立後は一般公開されるようになりました。

見どころ：自然と人工美の融合

頤和園の最大の見どころは、何と言っても広大な昆明湖と万寿山です。昆明湖では、遊覧船に乗って湖上からの景色を楽しむことができます。万寿山には、仏教寺院や楼閣が点在しており、山頂からは頤和園全体を見渡すことができます。

その他にも、西太后が暮らした楽寿堂、全長700メートルを超える長廊など、数多くの見どころがあります。庭園内には、中国伝統の建築様式を取り入れた建物が数多くあり、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。

アクセス

頤和園へのアクセスは、地下鉄やバスが便利です。

地下鉄:
4号線 北宮門駅
4号線/16号線 西苑駅
ライトレール:
西郊線 頤和園西門駅
バス:
多数の系統が、地下鉄北宮門駅、頤和園新建宮門、頤和園西門を経由

世界遺産登録基準

頤和園は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(i) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。
(iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。

まとめ

頤和園は、中国の歴史と文化が凝縮された、見どころ満載の庭園公園です。北京を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。その壮大なスケールと美しい景観に、きっと感動することでしょう。

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