額田部氏

額田部氏（ぬかたべうじ）について

額田部氏は、古代日本に存在した氏族であり、その起源は神話に遡ります。彼らは天津彦根命の子孫を自負し、古典文献『新撰姓氏録』では彼の子孫とされることが明記されています。また、額田部氏の祖となる神は、天照大神と素戔嗚尊との間から生まれた神の一人であり、彼らは大和国平群郡額田郷（今日の大和郡山市）を本拠地としました。

概要

額田部氏の成り立ちは、大和と出雲の間に横たわる歴史的な背景に根ざしていると考えられています。彼らは氏寺として額安寺を崇拝し、この寺は8世紀に額田部氏が信仰していた跡を見ることができます。特に、額田寺の伽藍を描いた奈良時代の荘園絵図は、当時の信仰の様子をよく示しています。古墳も彼らの先祖を祀るための重要な場であり、同時にその身分を象徴する存在でもありました。

額田部氏に関連する考古学的発見の一つに、1983年に発見された岡田山古墳からの遺物があります。この古墳から出土した鉄刀には、特定の銘文が刻まれており、額田部氏の存在を考古学的にも証明しています。岡田山古墳は国衙の遺跡に近接しており、氏族制や部民制の理解を深める上で重要な位置を占めています。これらの発見は、出雲と大和の関係を考える上でも非常に意義があります。

額田部臣と出雲での役割

また、額田部氏は734年に記録された『出雲国風土記』にも登場し、大原郡の少領としての地位を持っていました。このことから、彼らは地域の豪族としての役割を担っていたことがわかります。額田部氏は、出雲国での管理者として他の多くの豪族と連携を持ち、他の部民と共存していたと見られています。出雲国には同じ苗字を持つ他の氏族も存在し、一族のネットワークの重要性が示されています。

歴史的記録と影響

文献における額田部氏の最古の記述は、『日本書紀』に見ることができます。第十九巻には、欽明天皇の時代における彼らの活動が記されています。特に、顕著な人物である額田部連比羅夫が推古天皇の命で外交を行ったことが伝えられています。この時代、額田部氏は大和政権の中でも重要な役割を担っていたと考えられています。657年には法頭の地位にあったことも記録されています。

また、長門国における額田部氏も忘れてはなりません。740年には藤原広嗣の乱において戦力を提供し、その後昇進したことが『続日本紀』に記されています。このように、額田部氏は地方政治においても大きな影響力を持っていたことがわかります。

額田部の子孫と子孫による伝承

額田部氏にはいくつかの分派が存在し、例えば額田部湯坐連や額田部河田連などがそれにあたります。それぞれの氏族には、特有の伝承や歴史的背景があるとされています。特に、馬に関する伝説は、彼らの名に直接的に結びついています。

氏名には神話的な要素が絡んでおり、氏族の承認や特権の獲得の背景には、社会的・政治的要素が色濃く反映されています。このように、額田部氏の歴史は日本古代の政治や文化を理解する上で極めて興味深いものです。

まとめ

額田部氏は古代の日本において、神話から由来した著名な氏族であり、彼らの歴史を追うことで、日本の古代人物、社会制度、さらには豪族間の関係性を理解する手助けとなります。氏族が担った役割も多岐に渡り、当時の社会における彼らの貢献は、今に至るまで続いています。

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