顔恵慶

顔恵慶: 生涯を通じた外交と政治の功績

顔恵慶（がん けいけい）は、清末から中華人民共和国にかけて活躍した著名な外交官、政治家、教育者です。彼は北京政府での外交総長や国務総理、国民政府では国際連盟中国代表団首席代表、駐ソ大使など多くの要職を歴任し、その功績は広く知られています。

幼少期と教育

顔恵慶は清朝時代、聖公会の牧師である顔永京の息子として生まれました。上海で聖ヨハネ書院、英華書塾、同文書院で教育を受け、1895年にはアメリカに留学します。1897年にはバージニア大学に入学し、在学中は教師としても活動しました。1900年にバージニア大学を卒業後、帰国し上海聖ヨハネ大学で教鞭を執ります。

政治の道へ

1905年、上海で『南方報』の英文版の編集に関与し、『英華大辞典』の主編を務めた後、留学生試験で優等の成績を収め、外交の道に進みます。1907年、米国の駐米公使館に二等参賛として任ぜられ、外交事務に従事しつつ、ジョージ・ワシントン大学で国際法を学びました。その後、外務部での役職を歴任し、辛亥革命の際には袁世凱に信任され外務部左丞の任に就きました。

民国初期

中華民国成立後、顔は唐紹儀内閣で外交部次長を務め、のちにドイツ・スウェーデン・デンマークの公使としてベルリンに駐在します。1919年のパリ講和会議では中国代表団の顧問をし、帰国後には外交総長に就任しました。彼の外交政策は親英米路線を基本としつつも、日本との交渉にも力を入れました。

1921年にはドイツとの国交を回復し、ワシントン会議では現地の交渉を指導しました。彼は言論を駆使して外交における中国の立場を強化し続けました。顔は1922年から1926年までの間、農商総長、外交総長、内務総長、並びに4度国務総理を歴任しました。

国民政府での活動

1931年の満州事変発生後、顔は国民政府に戻り対日特種委員会委員として活動を再開しました。駐米公使に任ぜられてからは、国際連盟中国代表団の首席代表として各国と交渉を行い、対日非難の支持を得ることに尽力しました。特に、1933年の国際連盟総会において日本の脱退に対する反対演説が注目されました。

また、1936年には駐ソ大使に任され、ソ連との外交関係を深めるための努力を行いました。しかし、年齢を考慮し引退を決断し、日中戦争が勃発すると中国紅十字会国際委員会の主席として活動を再開しました。

晩年

1941年には香港で日本軍に一時拘束されながらも、親日政権への参加を拒み続けました。1945年の日本敗北後、上海に戻り様々な役職を歴任しました。1949年には、和平交渉に向けて中国共産党との交渉にあたりながらも結果は得られませんでした。

その後、中国人民解放軍が上海を制圧する直前に退去の要請を受けましたが、顔は上海に留まる道を選びました。

1950年に心臓病により74歳でこの世を去るまで、彼の影響力は多くの分野で感じられました。彼の著作や業績は今なお評価されており、多くの人々に彼の姿勢や思想が受け継がれています。

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