顔触れ言上

顔触れ言上（かおぶれごんじょう）

概要

顔触れ言上は、日本の大相撲において、翌日の取組を発表するために行われる伝統的な儀式です。この儀式は通常、中入の時間帯に実施されます。この慣習は江戸時代から続いており、観客が翌日の取組を理解し、会場に足を運ぶことを促すことを目的としています。現在の形での顔触れ言上が実施され始めたのは、1970年の1月場所からです。

実施の流れ

幕内取組が終わった後、中入の時間になると、呼出が音を鳴らし、行司が土俵に上がります。行司は通常、立行司または三役格行司が担当し、補助役である呼出も一緒に土俵に上がります。行司は、まず「憚りながら、明日（みょうにち）の取組をご披露つかまつります。」といった口上を述べ、その後で翌日の幕内取組を一つずつ読み上げます。この際、行司はあらかじめ書かれた力士の四股名を和紙に載せたものを扇子に乗せて持ち、観客に見せながら紹介します。

全ての取組を発表し終えると、行司は「右、相つとめまする間、明日もにぎにぎしく、お出（ご来場）をお待ち申し上げ奉ります。」という締めの口上を述べ、最後に土俵を退出してこの儀式が完了します。

特徴と制約

顔触れ言上は、翌日の取組を発表することを目的としているため、千秋楽には行われません。また、中入の段階で翌日の幕内取組が確定していない場合や、十両までの取組で進行が遅れ中入の時間が短縮された場合にも、実施されないことがあります。

メディアでの扱い

NHKによるテレビ中継では、中入の時間に新十両や新三役力士のインタビュー、過去の名勝負の特集などが行われることが多いため、顔触れ言上が放送されることは少なくなっています。一方で、ネット配信においては顔触れ言上が中継される場合が多いです。

顔触れの掲示

この儀式で使用された顔触れは、翌日会場の外に掲示されることが確定しており、観客がそれを見ることができます。万が一顔触れ言上が行われなかった場合でも、その日の取組に関する情報が作成され、掲示されることになります。

結論

顔触れ言上は、日本の大相撲において重要な役割を果たしており、観客に対して次の日の取組情報を明示する大切な儀式です。その伝統を守りつつ、現代もさまざまなメディアで取り上げられ、多くのファンに親しまれています。

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