風にむかってマイウェイ

コカ・コーラTVスペシャル 風にむかってマイウェイ：昭和の教育と子育て、そしていじめ問題

1984年11月12日、TBS系列で放送された『コカ・コーラTVスペシャル 風にむかってマイウェイ』は、教育、子育て、そしていじめ問題をテーマにした感動作です。小山内美江子（『3年B組金八先生』で知られる脚本家）が、干刈あがた原作の小説をドラマ化しました。

物語は、東京都大田区の小学校4年1組を舞台に展開します。新学期の父母会で、PTAクラス委員の選出が行われます。誰もがその重責を嫌がる中、結城明子（倍賞美津子）、佐久間満子（香野百合子）、吉野ミドリ（宮本信子）、そして大里洋子（音無美紀子）の4人の母親たちが委員を引き受けます。

この4人の母親たちは、それぞれに複雑な事情を抱えています。シングルマザーの明子、夫との関係に悩む満子、仕事と家庭の両立に苦しむミドリ、そして消極的な洋子。彼女たちは、学校や家庭で起こる様々な問題に、マラソンに例えられるように、一歩ずつ着実に、そして時にユーモラスに立ち向かって行きます。

物語の中心となるのは、いじめ問題です。明子の次男・伸二がクラスメイトからいじめを受け、家を飛び出してしまうという出来事が物語に大きな影を落とします。この出来事をきっかけに、4人の母親たちの葛藤はさらに深まり、彼女たちは学校や地域社会と協力しながら、いじめ問題の解決に奔走します。

ドラマは、単なる問題提起にとどまらず、母親たちの成長や友情、そして地域社会の温かさも丁寧に描いています。昭和の時代背景が色濃く反映された街並み、個性豊かな登場人物たち、そして当時の教育現場の空気感などがリアルに表現されています。特に、撮影が行われた東京都大田区西六郷地区の風景は、30年以上経った現在も当時の面影を残しており、ドラマファンにとっては聖地巡礼の対象にもなっています。

キャストは豪華俳優陣が勢揃い。倍賞美津子、香野百合子、宮本信子といったベテラン女優陣に加え、宇野重吉、樹木希林、加藤登紀子といった名優たちも脇を固めています。子役たちも、自然な演技で物語に深みを加えています。

『うちの子にかぎって…』など、他の学校を舞台にしたドラマと同様に、子役の一部は共通しており、当時の子役たちの活躍ぶりにも注目が集まりました。また、本作品は昭和59年度（第39回）芸術祭優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けています。

現在、映像ソフト化はされていませんが、CSのTBSチャンネルで不定期に再放送されている他、神奈川県横浜市の放送ライブラリーで視聴できます。当時を懐かしむ方、教育や子育て、いじめ問題に関心のある方にとって、必見の作品と言えるでしょう。

このドラマは、時代を超えて、多くの視聴者に共感と感動を与える、まさに名作と言えます。単なる娯楽作品ではなく、教育や子育て、そして社会問題について深く考えさせられる、そんな作品なのです。

主な登場人物

結城明子（倍賞美津子）：シングルマザーでイラストレーター。
大里洋子（音無美紀子）：消極的な性格だが、クラス委員として頑張る。
吉野ミドリ（宮本信子）：仕事と家庭の両立に悩むワーキングマザー。
佐久間満子（香野百合子）：夫との関係に悩む主婦。

そして、それぞれの家庭や学校に関わる多くの登場人物たちが、物語を彩ります。彼らの複雑な人間関係や葛藤が、現実社会の縮図として描かれています。

このドラマは、以下のような方におすすめです。

昭和時代のドラマが好きな方
教育や子育てに関心のある方
いじめ問題について考えたい方
倍賞美津子、香野百合子、宮本信子など、ベテラン俳優の演技が見たい方

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