風雲スーパータッグバトル

概要と特徴

『風雲スーパータッグバトル』（ふううんスーパータッグバトル、英語タイトル：『Kizuna Encounter SUPER TAG BATTLE』）は、SNKによって開発された対戦型格闘ゲームです。前年に同じネオジオプラットフォームでリリースされた『風雲黙示録』の続編にあたる作品として、1996年 9月26日に業務用ネオジオ（MVS）で稼働を開始しました。家庭用ネオジオ版は同年11月8日に発売されています。

前作『風雲黙示録』が従来の1対1の対戦形式を採用していたのに対し、本作ではタイトルが示す通り、2人1組のチームを組んで戦う交代制のタッグバトルへとシステムが刷新されました。この新たな形式がゲームプレイに大きな変化をもたらしています。また、前作が比較的のんびりとした雰囲気を持っていたのに対し、本作の世界観は一変。かなりハードボイルドで退廃的な近未来が舞台となり、作品全体の渋さが強調されています。

ゲームシステム

本作の最大の特徴は、前述の通り「1チーム2人・交代制」によるタッグバトルです。プレイヤーは2体のキャラクターでチームを組み、戦闘中はどちらか一方のキャラクターを操作します。チームメンバーのうち片方が倒された時点で、勝敗が決まるというルールが採用されています。このルールは、後にSNKプレイモアから発売された『ネオジオバトルコロシアム』のCPU戦でも同様に見られました。

戦闘中に操作キャラクターを交代するには、画面中央付近に設定された特定のエリアに入る必要があります。交代に成功し、控えに回ったキャラクターは体力が徐々に回復を開始します。そのため、単に目の前の相手の体力ゲージを削るだけでなく、劣勢時には戦略的に交代して体勢を立て直したり、逆に優勢時には相手を交代エリアに近づけさせないように立ち回ることが、勝利のための重要な要素となります。

通常時は他の一般的な格闘ゲームと同様に、1つのチームを1人のプレイヤーが操作し、最大2人まで対戦可能ですが、業務用MVS版（特定の基板限定）には、4人用サブボードを接続することで最大4人までの同時プレイに対応する特殊な仕様「スペシャルバージョン」が存在しました。これは「1キャラクターにつき1人のプレイヤーが操作する」という形式で、控えに回っているキャラクターのプレイヤーがボタンを連打することで、そのキャラクターの体力回復速度を速めることが可能でした（既に体力が満タンの場合は効果なし）。ただし、この4人プレイ対応システムは、家庭用移植版ではいずれの機種においても再現されていません。この4人用サブボードは、実質的に本作専用の周辺機器に留まりました。

ユニークな要素として、前作に引き続き「脱衣KO」演出も継承されています。今作では、新キャラクターである女性ファイターのロサにもこの演出が適用され、特定の条件下（タイムカウント10以下、ロサのパートナーの体力4分の1以下でロサを倒す）を満たすと、通常よりも過激な服装破壊が見られるという仕掛けもありました。

登場キャラクター

個性豊かなファイターたちが多数登場します。

今作から登場

ロサ: 「深紅の女豹」と呼ばれる謎めいた女性。素手と武器を組み合わせる他の風雲シリーズキャラクターとは異なり、剣術を主な格闘スタイルとしています。彼女の技名にはフランス語やラテン語が混在しており、多様な剣術を習得していることを示唆しています。特定の条件を満たすと、脱衣KO演出でストラップレスのブラジャー姿が露わになります。
金秀一（キム・スイル）: テコンドーと棒術を組み合わせたスタイルで戦う男性。詳細な血縁関係は明かされていませんが、『餓狼伝説』シリーズの人気キャラクター、キム・カッファンの子孫とされています。彼の必殺技にはカッファンと同じ「鳳凰脚」という名称の技があり、棒術アレンジされつつも共通点が見られます。無口で孤独を愛する性格ですが、短気な一面も持ち合わせています。元考古学の発掘作業員でしたが、現場監督との衝突が原因で辞職し、現在は飲み屋のボディガードとして生計を立てています。

前作から登場

ショー・疾風: 風雲拳をさらに磨き上げ、再び大会に挑みます。
マックス・イーグル: 最近恋人ができたという設定が加わりました。デフォルトカラーが前作から変更されています。
牛頭（ゴズウ）: 亡き鹿頭（カズウ）の仇を討つため真獅子王を狙いますが、後に真の仇が組織の首領であることを知り、組織と決別します。
馬頭（メズウ）: 兄と同様に鹿頭の仇を討とうとしますが、組織内での地位向上も企んでいます。最終的には組織に追われる身となりますが、反撃の意思を固めています。
影・獅子王: 前作では中ボスでしたが、今作では通常キャラクターの一人として登場します。髪やグローブの色が青に変更されています。
ゴードン・ボウマン: 元気になった娘のためにマイホーム資金を稼ぐべく再び参戦。1Pと2Pのカラー配置が逆転しています。
中白虎（チュン・パイフー）: 前回のリタイアの雪辱と、真獅子王への借りを返すために出場します。
ジョーカー: 所属する勢力の復活を目指し、獅子王の組織乗っ取りを画策します。デフォルトカラーが変更されています。

ボスキャラクター

真・獅子王（しんししおう）: 今作では中ボスとして登場。影・獅子王と同様に髪などが青色になっています。
邪頭（ジャズウ）: 本作の最終ボス。闇の組織「邪呀」の首領であり、鹿頭を死に追いやった真の黒幕です。普段はカラスの姿でおり、戦闘時に本来の姿を現します。牛頭や馬頭の技を強化して使用するほか、独自の強力な技も持ちます。後に『ザ・キング・オブ・ファイターズ XI』にも隠しキャラクターとして参戦しました。

移植と展開

『風雲スーパータッグバトル』は、家庭用ネオジオ以降、長らく他のゲーム機に移植されませんでした。前作がネオジオCDにも移植されていたのに対し、本作はそれもありませんでした。しかし、2007年 6月21日にPlayStation 2向けに発売されたコンピレーションソフト『NEOGEO オンラインコレクション』シリーズの一作である『風雲 SUPER COMBO』に、前作『風雲黙示録』と共に収録され、初めてネオジオ以外のプラットフォームでプレイ可能となりました。対象年齢はCEROレーティングでB（12才以上対象）となっています。

さらに近年では、アーケードアーカイブス（アケアカNEOGEO）シリーズの一つとして、様々なプラットフォームでデジタル配信が行われています。2019年 1月10日にはPlayStation 4|PlayStation_4、Xbox One、Nintendo Switch向けに、同年10月11日にはWindows 10向けに、そして2023年8月24日にはiOSおよびAndroid向けにそれぞれ配信が開始され、現代のゲーム環境でも手軽に楽しめるようになっています。

本シリーズからは、後にSNKの別作品へキャラクターが参戦しています。『ネオジオバトルコロシアム』には獅子王（影・獅子王）と真・獅子王が登場し、特に真・獅子王はCPU専用の最終ボスの一人として登場しました。また、『ザ・キング・オブ・ファイターズ XI』には、ショー・疾風と邪頭が隠しキャラクター兼乱入キャラクターとして参戦し、シリーズを超えた活躍を見せています。

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