飛良泉本舗

株式会社飛良泉本舗

株式会社飛良泉本舗（ひらいづみほんぽ）は、秋田県にかほ市に本拠を置く酒造メーカーであり、その歴史は室町時代の1487年にまで遡ります。五百年以上の伝統を持つこの酒蔵は、全国的にも古い蔵元の一つとして知られています。特に、帝国データバンクによると、須藤本家株式会社（創業1141年）に次いで、国内の清酒製造部門では2番目に古い歴史を誇る事業体です。

創業当初、初代は関西の泉州から家族と共に移住し、農業を基盤に生活を営んでいました。日本海に面した地には、冬の寒風吹きすさぶ厳しい気候がありますが、四季の変化がはっきりしているため、酒造りにとっては理想的な環境でした。二代目によって、酒造りが本格的に始まり、最初は廻船問屋として活動しつつ、副業として酒造を行う形でした。

しかし、明治時代には鉄道の開通に伴って廻船業が衰退し、業務の転換が求められるようになりました。そんな中、二十二代目は酒造りに専念することを決意しました。1964年の新潟地震では壊滅的な影響を受け、一度は廃業を考えるほどの状況に追い込まれましたが、二十五代目は本蔵の存続に強い思いを抱き、再建に全力で取り組みました。特に山廃造りの技術を重視し、少量精製による丁寧な手造りを続けることで、品質を向上させていきました。

この努力が実を結び、飛良泉の名は徐々に広まり、平成初期には特定名称蔵として確固たる地位を築きました。仕込み水には、鳥海山系の伏流水を使用しており、昔ながらの技法を維持しつつ、より良い酒を作り続けています。

交通アクセス

仁賀保駅から徒歩5分の距離で非常にアクセスしやすい立地です。また、日本海東北自動車道の仁賀保ICからも容易に到達できます。蔵の見学はできませんが、試飲は可能となっており、実際に飛良泉の味を楽しむことができます。

主な銘柄

飛良泉本舗では、多様な日本酒を製造しています。主要な銘柄には、以下のものがあります：

• - 飛良泉 本醸造
• - 飛良泉 山廃本醸造
• - 飛良泉 山廃純米
• - 飛良泉 純米大吟醸
• - 飲用酒 　山廃純米粕取
• - 吟醸粕取

特に「飛良泉」は数々の賞を受賞しており、全国新酒鑑評会においても金賞を獲得した実績があります。平成17年から令和2年まで、何度も金賞や入賞を果たしてきました。

受賞歴

• - 平成14酒造年 - 30酒造年
• - 令和元年 - 2酒造年「飛良泉」金賞受賞

- 平成17、18、20、21、22、23、24、26、27、28、29年、及び令和元年（入賞）、2年

参考文献

さらに詳しい情報は以下の文献で探ることができます。
1. 木村克己 著 『利き酒で選んだ日本酒「厳選の蔵元94」』新星出版社, 2000年。
2. 武者英三（監修）『蔵元を知って味わう日本酒事典』ナツメ社, 2011年。
3. 友田晶子（監修）他『全国の日本酒大図鑑[東日本編]』マイナビ出版, 2016年。
4. 「美酒王国秋田」編集委員会『美酒王国秋田』無明舎出版, 2015年。

これらの資料を参考にしながら、日本酒の歴史や文化を深く知るきっかけとすることができるでしょう。株式会社飛良泉本舗の伝統的な技術によって生み出される日本酒は、多くの愛好家にとって特別な存在となっています。

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