飛行神社

飛行神社（ひこうじんじゃ）

飛行神社は、京都府八幡市に位置する神社で、航空業界の人々にとって特別な場所です。この神社は、飛行機の神である饒速日命や航空事故の犠牲者の霊を祀る役割を持っています。独特のギリシャ風の拝殿が特徴で、日本で初めて飛行原理を研究した二宮忠八によって、1915年に創建されました。

概要・歴史

二宮忠八は1891年に日本初の動力飛行模型の実験に成功しました。しかし、アメリカのライト兄弟が人を乗せた飛行機を実現させたことを知り、飛行機開発から離れることになりました。彼は航空事故が多発する現状を憂い、航空業界に携わった者として、事故の犠牲者を慰霊する責任を感じました。そのため、私財を投じてこの神社を創立することに至りました。

神社は特定の条件に合った死者を祀る招魂社の一種であり、靖国神社と同様の信仰の基盤があります。その後、忠八は1936年に亡くなり、一時は廃絶しましたが、1955年に彼の息子である二宮顕次郎によって再興されました。1989年には忠八の飛行原理発見百周年を祝って、神社の拡張と改装が行われました。拝殿は古代ギリシャの神殿に似せて造られており、鳥居は航空機に使用されることが多いジュラルミンではなく、腐食に強いステンレスで作られています。また、忠八や航空機に関する資料、そして奉納された模型が収蔵される資料館も併設されています。

境内の展示物には、大阪湾から引き揚げられた零式艦上戦闘機のプロペラもあり、訪れる人々に航空の歴史を感じさせます。1992年には二代目宮司である二宮顕次郎が他界し、その後宗教法人化され、三代目宮司には二宮裕二が就任しました。

祭神と祀られている神々

飛行神社の祭神は、中央に饒速日命、右側に航空業界の殉難者や功績者、左側には薬祖神、金毘羅神、白龍神が祀られています。饒速日命は、神話において天磐船に乗って地上に降臨した神とされ、空の神、また飛行機の神として崇められています。この神は交野市の磐船神社から勧請されたものです。

右側の社殿では、航空業界に貢献し、事故で亡くなった人々が祀られており、日本国内の航空事故の犠牲者は個名で合祀され、海外の犠牲者は無名で合祀されています。左側の社殿には、薬業の祖神とされる武田長兵衛、金毘羅神、そして白龍神が祀られています。白龍神は境内に出現した白蛇を土地の神として祀ったものです。

境内社と祭礼

神社の境内には常盤稲荷神社もあります。また、重要な祭礼として、1月1日の歳旦祭や4月29日の例祭などがあり、特に航空事故の殉難者や航空業界で亡くなった方々を合祀する行事が行われます。また、9月20日は「空の日」として記念され、航空にまつわるイベントが実施されています。

交通と周辺情報

飛行神社へのアクセスは、京阪電鉄の石清水八幡宮駅から徒歩4分ほどです。近隣には、松花堂、八角堂、正法寺、石清水八幡宮といった観光スポットがあります。さらに、忠八が飛行原理を着想した香川県まんのう町の樅ノ木峠には「二宮飛行神社」が1991年に創設されています。

このように、飛行神社は日本の航空史と深く関わる神社であり、訪れる人々にとって重要な精神的支柱となっています。

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