飛鳥井雅経

飛鳥井 雅経（あすかい まさつね）について

飛鳥井雅経は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて活躍した公卿であり、歌人としても知られています。彼は刑部卿の難波頼経の次男で、官位は従三位・参議にまで昇進しました。雅経は「二条」または「明日香井」と号し、飛鳥井家の祖ともされています。彼が詠んだ和歌は『小倉百人一首』にも収められており、特に「参議雅経」として名を馳せました。

経歴

雅経の経歴は波乱に満ちています。治承4年（1180年）に叙爵され、侍従などの役職を歴任しました。しかし、源頼朝と義経が対立したため、義経と近しい関係にあった父・頼経が配流され、その影響で雅経も鎌倉に護送されることになります。鎌倉に赴いてからは、源頼朝に和歌や蹴鞠の才能を高く評価され、頼朝の息子たちとも深い親交を築くことができました。その結果、彼は頼朝から猶子として迎えられ、大江広元の娘と結婚するなど、重要な地位を確立しました。

建久8年（1197年）には罪を許され、京に帰る際には頼朝からさまざまな贈物が与えられました。このように、彼の生涯は権力者との関係によって形作られ、その後も後鳥羽上皇の近臣として重んじられました。建保6年（1218年）には従三位に叙せられ、承久2年（1220年）には参議に任命されました。

和歌と蹴鞠の功績

雅経は文学だけでなく、音楽とスポーツの才能にも優れていました。彼は和歌の分野で特に秀句を好み、後鳥羽上皇からは「雅経は、殊に案じかへりて歌詠みしものなり」と評されるほどの詩才を持っていました。しかし、言葉を取りすぎるとの批判もあったようです。

また、建仁元年（1201年）には和歌所の寄人となり、上古以来の和歌を撰進しました。この機会を通じて、彼は勅撰[[和歌集]]『新古今和歌集』の撰者の一人としても名を馳せました。その後も蹴鞠の分野でも先頭を走り、承元2年（1208年）には後鳥羽上皇が主催した鞠会で才能を発揮し、「蹴鞠長者」の称号を得ました。

雅経は飛鳥井流蹴鞠の創始者とも見なされており、『蹴鞠略記』という著作も残しています。彼は鎌倉幕府に招かれ、3代将軍の実朝と藤原定家、鴨長明の間を取り持つなど、数々の重要な役割を果たしました。

著書と和歌の集

雅経の文学的な業績としては、日記『雅経卿記』や家集『明日香井集』が挙げられます。また、彼は『新古今和歌集』に22首、その他の勅撰[[和歌集]]にも132首が収められ、多くの和歌を形にしました。

一方で、彼の作品は時代背景や個人の境遇を反映しており、今なお現代でも高く評価されています。彼の詠んだ歌の一つに「み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり」があり、これは『新古今和歌集』にも収録されています。

結語

飛鳥井雅経は、和歌や蹴鞠における才能を通じて平安から鎌倉という時代に息づく文化を支えた重要な人物です。彼の作品や業績は、今もなお文学や歴史の教科書に名を刻まれ、私たちに多くの教訓や感動を与えています。また、彼にまつわる作品も後世に継承され、彼の霊は今なお詩や蹴鞠を通じて生き続けています。

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