食肉目

食肉目 (Carnivora)

食肉目（しょくにくもく）は、哺乳綱に属する動物の分類群であり、主に肉食を生業とする動物たちを含んでいます。この目には、イヌ科、ネコ科、クマ科といった多様なグループが存在し、食肉目に属する動物たちは捕食者として特異な進化を遂げています。

特徴

食肉目に属する動物たちは、獲物を捕らえるために必要な感覚器官（視覚、聴覚、嗅覚、触覚）を高いレベルで発達させています。加えて、高い運動能力を持つことが、この目の動物たちの特徴の一つです。食肉目の動物たちは、通常、裂肉歯と呼ばれる特有の歯を持ち、肉を裂くために適応しています。ただし、海棲種である鰭脚類の一部では、食性に応じてこれが失われています。

さらに、食肉目に属する動物はほとんどが肉食ですが、ヒグマやツキノワグマのような雑食性の種も存在します。特にジャイアントパンダやレッサーパンダなどは、ほぼ完全に草食性であることでも知られています。

分類

食肉目の現生の分類群については、Burgin et al. (2020) に従っています。以下は主な分類の概要です。

1. イヌ型亜目 (Caniformia)
- クマ下目 (Arctoidea)
- Musteloidea小目 (イタチ上科)
- レッサーパンダ科 (Ailuridae)
- スカンク科 (Mephitidae)
- イタチ科 (Mustelidae)
- アライグマ科 (Procyonidae)
- Pinnipedia小目 (鰭脚類)
- セイウチ科 (Odobenidae)
- アシカ科 (Otariidae)
- アザラシ科 (Phocidae)
- クマ小目 (Ursida)
- クマ科 (Ursidae)
- Canoidea下目 (イヌ上科)
- イヌ科 (Canidae)

2. ネコ型亜目 (Feliformia)
- Feloidea下目
- ネコ科 (Felidae)
- オビリンサン科 (Prionodontidae)
- Nandinioidea下目
- キノボリジャコウネコ科 (Nandiniidae)
- Viverroidea下目
- マダガスカルマングース科 (Eupleridae)
- マングース科 (Herpestidae)
- ハイエナ科 (Hyaenidae)
- ジャコウネコ科 (Viverridae)

系統

食肉目は、化石種も含めた系統樹からその進化の過程を探ることができます。古い時代から存在したビベラブス科やミアキス科が食肉目の起源に関連付けられています。記録上最古の化石は、前期暁新世に遡り、中華人民共和国や北アメリカで発見されています。

初期の食肉目は種数が限られていましたが、後期始新世に入り、ネコ型およびイヌ型の亜目が出現し、さらなる多様性を見せました。近年の研究によって、鰭脚類の起源がクマ類と近いことが明らかになり、昔ながらの二分法からの再考を促す結果となっています。

このように食肉目は、その進化的な背景や多様性から見ると、非常に興味深い分類群であることがわかります。

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