飯島保作

飯島保作は、明治から昭和初期にかけて活躍した実業家です。1863年、現在の長野県上田市に生まれました。幼少期から才能に恵まれ、小学校卒業後には三等郵便局長を務めるなど、早くから社会貢献の道を歩み始めます。その後、政治にも関心を持ち、立憲改進党系の団体に所属して活動した経歴も持ちます。

一方で、経済界でも手腕を発揮しました。上田倉庫や諏訪倉庫の取締役、上田商業会議所会頭などを歴任し、経済界に貢献します。そして、1919年には第十九国立銀行の頭取に就任。銀行経営においても、その高い能力を発揮しました。

飯島保作の生涯において大きな転換期となったのは、昭和恐慌の時期です。当時、彼は第十九国立銀行の頭取として、銀行の存続と地域の経済安定のために尽力しました。特に、松代の第六十三国立銀行との合併による八十二銀行の設立に奔走しました。この合併は、地域経済の活性化に大きく貢献する計画でしたが、合併直前の1931年、腸チフスのため急逝してしまいます。

飯島保作は、経済界での成功だけでなく、文学にも深い造詣を持っていました。和歌、狂歌、川柳など、多くの作品を残しており、その才能は多方面に渡ります。特に、江戸庶民文学、中でも古川柳の研究においては高い評価を得ており、多くの研究者と交流を持ちました。岡田朝太郎など同時代の著名な研究者とも親交を深めていたことが知られています。

彼の文学への情熱は、膨大な蔵書にも表れています。生涯で収集した1万冊にも及ぶ蔵書は「花月文庫」として上田市立図書館に寄贈され、現在も多くの研究者や市民によって利用されています。これらの蔵書は、彼の深い知識と情熱を物語る貴重な文化遺産と言えるでしょう。また、『花月随筆』や『川柳真田三代記』など、著書も残しています。

飯島保作は、経済界と文化界の両面で活躍した稀有な人物でした。銀行頭取として経済界を支え、一方で文学者として文化の発展に貢献しました。昭和恐慌という困難な時代においても、地域経済の活性化のために尽力したその生涯は、現代社会においても学ぶべき点が多く存在します。彼の功績は、上田市の発展に大きく貢献し、現在も地元の人々から敬愛されています。上田人物伝などを通して、その生涯をより深く知ることができます。

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