飯沢耕太郎

飯沢耕太郎 — 日本の写真評論家

飯沢耕太郎（いいざわ こうたろう、1954年3月26日生まれ）は、宮城県仙台市出身の写真評論家です。彼は日本大学芸術学部の写真学科を1977年に卒業した後、筑波大学大学院で芸術学の博士課程を1984年に修了しました。彼の研究と執筆活動が日本の写真界に与えた影響は計り知れません。

経歴と業績

飯沢氏は、主に20世紀前半の日本の写真を研究する第一人者として知られています。彼の代表的な著作である『「芸術写真」とその時代』（1986年）、『写真に帰れ　光画の時代』（1988年）、『都市の視線　日本の写真1920-30年代』（1989年）の三部作により、その名は広まりました。これらの著作は、写真が持つ表現力と文化的背景を深く掘り下げるもので、当時の日本の社会状況を反映しています。

さらに彼は雑誌「deja-vu」の編集長を務め、写真新世紀やひとつぼ展の審査員としても活動しています。特に90年代には「ガーリーフォト」ブームを牽引しました。飯沢さんは、著名な写真家である荒木経惟の研究者としても知られおり、その作品を深く理解し解説する活動を行っています。

1996年には『写真美術館へようこそ』でサントリー学芸賞を受賞しました。彼はまた、キノコの愛好家としても有名であり、キノコに関する著作も多数執筆しています。『世界のキノコ切手』や『きのこ文学大全』、『考えるキノコ』など、彼のキノコに関する知識と情熱が反映された作品が揃っています。

教育活動

学術活動においても、飯沢耕太郎は多岐に渡る講義を行っています。1981年から東京綜合写真専門学校で非常勤講師を務め、写真作家の研究を担当しました。また、2004年及び2008年には東京大学教養学部で非常勤講師として日本写真史の講義を行っており、成安造形大学でも講師として教えています。彼の授業は多くの学生に影響を与え、写真に対する理解を深める機会となっています。

著作

彼の著作には、写真技法や文化に関する良書が多数あります。以下にいくつかの代表作を挙げます。

• - 『ヌード写真の見方』（新潮社、1987年）
• - 『写真の力』（白水社、1989年）
• - 『戦後写真史ノート：写真は何を表現してきたか』（中公新書、1993年）
• - 『私写真論』（筑摩書房、2000年）
• - 『写真を愉しむ』（岩波新書、2007年）
• - また、共編著や監修としても多くの書籍を手掛けています。

現在の活動

飯沢耕太郎の活動は、写真の評論を超え、キノコ文化やその文学的表現にも及んでいます。彼は写真というメディアの可能性を探求し続けており、現代の日本写真についての理解を深めるための研究や著述を行っています。飯沢氏の知識と情熱は、彼が関わるすべての活動において、写真と文化の新たな地平を切り開く重要な役割を果たしています。

彼の業績は今後も写真文化の発展に寄与し、多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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