飯田裕久

飯田裕久：元刑事の異才、作家・監修者・俳優としての生涯

飯田裕久（いいだ ひろひさ）は、1963年11月5日に生まれ、2010年7月2日に46歳という若さでこの世を去った、多才な人物でした。彼は作家、警察ドラマ・映画監修者、そして俳優という多様な顔を持ち、そのキャリアの出発点は警視庁の警察官でした。

警察官から創作の世界へ

千葉県出身の飯田は、高校卒業後の1982年に警視庁に入庁しました。わずか3年で所轄の捜査員として現場に立ち、トリカブト殺人事件での本庁支援を機に、1992年には刑事部捜査第一課へと異動。音羽お受験殺人や地下鉄サリン事件など、100件以上の事件捜査に携わりました。2007年、25年の勤務を区切りに警部補（係長）で退職し、その後は映画・ドラマ制作の世界へと足を踏み入れます。

5年D組を経て五社プロダクションに所属した飯田は、警察ドラマや映画の演技指導に携わる傍ら、ノンフィクションや小説の執筆も開始。自らの経験を基にした作品は多くの人々を魅了し、監修作品の中には俳優として出演するものもありました。代表作としては、「警視庁捜査一課刑事」や小説「地取り」などが挙げられます。

早すぎる死と、家族への想い

2010年7月2日午後10時48分、飯田は脳出血のため東京都練馬区の病院で逝去。46歳という若さでした。家族思いな一面もあり、厳しさの中に優しさを見せることもあったと言われています。また、学生時代にはシェフを目指していたほどの料理の腕前を持ち、家族や同僚に手料理を振る舞うこともあったそうです。愛煙家であり、ラッキーストライクを好んでいました。

主な著書

警視庁捜査一課刑事（朝日新聞出版、2008年）- 現役時代の体験を基にしたノンフィクション
地取り（小説、朝日新聞出版、2009年）
検挙票（小説、朝日新聞出版、2009年）
自分を鍛える働き方 ―「刑事五十訓」に学ぶ―（サンマーク出版、2010年）- エッセイ
「裏」を見通す技術 ―勝ちたいあなたに捧げる刑事の「マル秘情報収集法」―（講談社＋α新書、2010年）

映画監修・出演作品

ロストクライム -閃光-（「結城稔」役で出演）
踊る大捜査線3
鑑識・米沢守の事件簿
相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜

舞台監修

ロス・タイム・ライフ第二話

TVドラマ監修（兼出演作品を含む）

相棒（エンディングクレジット非掲載）
ゴンゾウ 伝説の刑事
西部方面警務隊
東京DOGS
臨場シリーズ（兼出演）
キイナ〜不可能犯罪捜査官〜
BOSS
ハンチョウ
刑事一代
新・警視庁捜査一課9係
働くゴン
アンタッチャブル〜事件記者・鳴海遼子〜
その男、副署長・3（兼出演）
交渉人 遠野麻衣子・最後の事件
山村美紗サスペンス 狩矢警部シリーズ8 京都西大路通り殺人事件（兼出演）
東野圭吾「幻夜」
* 陽はまた昇る（原案のみ）

飯田裕久は、警察官としての経験を活かし、作家、監修者、俳優として幅広い分野で才能を発揮しました。彼の作品は、警察内部のリアルな描写や人間ドラマを通じて、多くの人々に感動と刺激を与え続けています。

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