飯豊山神社

飯豊山神社（いいでさんじんじゃ）

飯豊山神社は、福島県喜多方市にある神社で、飯豊山の南峰（標高2,102m）に位置しています。神社は、麓の一ノ木地区中在家にも麓宮が存在し、飯豊山頂には奥宮があり、これら二つの宮は一つの神社として親しまれています。伝統的には県社に位置付けられています。

歴史

開創の背景

飯豊山地はその容姿が「飯を豊かに盛るように見える」ことから、その名前がついたとされています。神社の起源は、652年（白雉3年）に、中国から渡ってきた僧、知道と修験道の開祖、役小角がこの地に登り、飯豊山に名付けたことに始まります。さらに、この山を5神の王子に見立て、一王子から五王子を祭ることになったと伝えられています。この他にも、徳一、空海、行基などの高僧に起源を求める説や、永保年間に南海と知影という二人の猟師による開創の説も存在します。

中興と信仰の広がり

1595年（文禄4年）、若松城の城主、蒲生氏郷は、以前廃れていた参詣道を整備し、以降は一ノ木口が表参道に定まりました。次世代の松平氏も会津守護の役割を果たし、神社が手厚く保護されました。一ノ木と大日杉は、江戸時代に会津と米沢を結ぶ重要な街道の藩境に位置し、飯豊山参拝の中心地としても賑わいを見せました。

飯豊山信仰は、地域に根ざした土俗的な信仰として、飯豊山自体を神体として崇拝する特徴があります。この山から湧き出す水は、周辺の川に流れ込み、地域に豊かさをもたらすと信じられています。また、死者が天へ昇り、先祖はこの山で見守っているという概念から、特に重要とされる場所となっています。飯豊山に登ることは、地元の男子が成長する証として位置付けられ、13歳から15歳の間に必ず登拝するしきたりがあったと言われています。

県境における議論

明治時代、廃藩置県の際に、奥宮が新潟県へ編入されたことに対し、一ノ木村は反発し、「飯豊山神社は一体である」と主張しました。1907年には内務省の裁定により、一ノ木村の土地として認められました。この結果、現在の福島、山形、新潟の県境が形成されました。

社殿と文化財

飯豊山神社の麓宮は拝殿のみが存在し、本殿がありません。これは、山自体が神体とされているためです。宮には「銅造五大虚空蔵菩薩坐像」が安置されており、福島県の重要文化財にも指定されています。これらの像は、神道と仏教が融合し、五社権現の本地仏とされています。

神社の周辺にはかつては五王子の社があり、これらの場所には五大虚空蔵菩薩坐像が毎年運ばれていました。また、近年まで飯豊山は女人禁制であり、禁を破った女性が神の怒りに触れた逸話が残っています。登山道の横には、彼女を祀ったとされる「姥権現」があり、登山者にとっての目印でもあります。

結論

飯豊山神社は、古くから地域の信仰の中心であり、その歴史や文化的背景は豊かです。今後も多くの人々に支えられ、訪れる人々に霊験あらたかな存在であり続けるでしょう。

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