飯野ビルディング

飯野ビルディング

飯野ビルディングは、東京都千代田区内幸町に位置する高層ビルであり、飯野海運が所有しています。同社をはじめとする企業のオフィスが入居するほか、500名収容の多目的ホール「イイノホール」を擁しています。2011年に竣工したこのビルは、1960年に建てられた旧ビルの建替えによって誕生しました。

建替えの経緯

旧ビルは祝田通りに面したL字型の敷地に立地していました。建替えは2期に分けて行われ、1期工事で新ビル本体が2011年に完成しました。この建替えプロジェクトでは、省エネルギー性能の向上が重視されました。

新ビルの特徴

新飯野ビルディングは、以下の特徴により、高い省エネルギー性能を実現しています。

ダブルスキン構造: 奥行き80cmの二重構造の外壁
デシカント空調機: 温度と湿度を分離制御
パーソナル制御: デスクごとの照明・空調調整
高効率型水蓄熱槽: 夜間電力利用
LED照明: 消費電力削減

これらの技術により、飯野海運の使用フロアにおける一次エネルギー年間消費量は945MJ/m2・年という低い数値を達成しました。これは、旧ビルや都内の平均的なオフィスビルと比較して大幅な省エネです。この実績が評価され、2014年に空気調和・衛生工学会技術賞を受賞、CASBEE Sランク認証を取得しました。

BCP（事業継続計画）対策も充実しており、屋上に非常用発電機、地下に燃料タンクを備え、72時間連続で照明や給排水の電力を供給できます。また、通常時は上水使用量の約4割を雑排水処理した中水道で賄い、断水時には蓄熱槽の水を中水道に転用可能です。将来的には、屋上へのソーラーパネル設置や非常用発電機の増設も可能な構造となっています。

1階には広々としたピロティが設けられ、日比谷公園に面した北側には「イイノの森」と呼ばれる緑地帯が広がります。この緑地帯は、東日本大震災復興祈念樹をはじめとする在来種を中心とした植栽で構成されています。

地下2・3階は駐車場、地下1階は26店舗からなる飲食店街「イイノダイニング」となっています。2014年には東京メトロ千代田線霞ケ関駅に直結する地下通路が開通し、近隣のビルや駅へのアクセスが向上しました。

その優れた建築デザインが評価され、2016年には旧ビルに続き第57回BCS賞を受賞しています。

主な入居企業

双日
UBE三菱セメント
Micro Port
クロスオフィス日比谷
川崎汽船
飯野海運
アルプスカード
* 低酸素ジム LOX-Fit虎ノ門

イイノホール

4階にある「イイノホール」は、落語、音楽演奏会、映画試写会など多目的に利用できるホールです。座席数は500席で、内装は帆船をイメージしたデザインとなっています。ロビーには旧ホールから村井正誠による壁画が移設され、北側のホールホワイエからは日比谷公園や皇居を一望できます。同じフロアには、大会議室1室と小会議室4室からなるカンファレンスホールも併設されています。

旧・飯野ビル

1960年に竣工した旧飯野ビルは、当時としては大型でモダンなオフィスビルとして知られ、イイノホールは文化の発信地として親しまれていました。第3回BCS賞も受賞しています。建替えは、BCP対策やOA化による不動産価値向上を目的に決定されました。

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