飼育 (映画)

映画『飼育』について

1961年（昭和36年）11月22日に公開された映画『飼育』は、大島渚監督による日本映画であり、パレスフィルムプロダクションが製作、大宝が配給しました。この作品は、白黒のワイドスクリーンで上映され、大江健三郎の同名小説を原作としています。

概要

物語は、終戦直後の1945年（昭和20年）初夏の山村を舞台に、米軍機の墜落によって生き残った黒人兵士と、彼を「飼育」する村人たちの異様な関係を描いています。タイトルにもなっている「飼育」とは、黒人兵士が村人によって監禁され、鎖で繋がれて管理下に置かれる状況を指しており、人間の残酷さや異質なものに対する恐怖心を浮き彫りにしています。

本作は、新東宝の解散後に設立された大宝株式会社が配給した作品の一つで、同社が配給したわずか6作品のうち、現在でも鑑賞可能な貴重なフィルムです。英題は『The Catch』、仏題は『Le Piège』として知られています。

また、映画に登場する鷹野家として使用された古民家は、長野県南相木村に実在し、お笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜さんの母方の祖父の家であることが知られています。

あらすじ

物語は、山村に墜落した米軍機の黒人兵士が、村人たちによって捕らえられ、監禁されるところから始まります。村人たちは、言葉も通じない異質な存在である黒人兵士を恐れ、同時に好奇心を抱きながら、彼を鎖で繋ぎ「飼育」します。この異様な状況下で、村人たちは次第に狂気を帯びていき、日常が歪んでいく様子が描かれています。

スタッフ

製作: 田島三郎、中島正幸
協力: 佐野博
原作: 大江健三郎
脚本: 田村孟
脚本協力: 松本俊夫、石堂淑朗、東松照明
撮影: 舎川芳次
照明: 菱沼誉吉
美術: 平田逸郎
録音: 岡崎三千雄
音楽: 真鍋理一郎
三頸獅子舞指導: 別所神社子連中
編集: 宮森みゆり
効果: 角田陽次郎
振付: 西野皓三
助監督: 柳田博美
製作主任: 岸田秀男
デザイン: 粟津潔
監督: 大島渚
製作: パレスフィルムプロダクション
配給: 大宝

キャスト

黒人兵: ヒュー・ハード
鷹野一正: 三國連太郎
鷹野かつ（一正の妻）: 沢村貞子
鷹野久子（一正の長男の妻）: 中村雅子
幹子（一正の姪）: 大島瑛子
秋さん（鷹野家の百姓番頭）: 浜村純
利吉（鷹野家の百姓番頭）: 相川史朗
塚田伝松: 山茶花究
塚田ます（伝松の妻）: 岸輝子
塚田幸子: 三原葉子
治（伝松の甥）: 牧江重行
孝（伝松の甥）: 京須雅臣
小久保余一: 加藤嘉
小久保次郎（余一の息子）: 石堂淑朗
小久保八郎（次郎の弟）: 入住寿男
石井弘子: 小山明子
百合子（弘子の娘）: 上原京子
桃子: 上原以津子
角屋: 島田屯
春夫: 黒坂明二
鉄砲撃ち: 今橋恒
忠勇: 横田利郎
治作: 竹田怯一
気違い女: 槇伸子
役場の書記: 戸浦六宏
巡査: 小松方正
* その他: 谷野博、山田強、鈴木晴男、鈴木英男、中島朝次、葛城伸、望月晃



映画『飼育』は、戦争の傷跡が生んだ人間の狂気や異質なものへの恐怖を描いた作品として、今なお多くの観客に衝撃を与え続けています。

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