亀井茲監

亀井茲監：津和野藩最後の藩主の生涯

亀井茲監は、石見国津和野藩の最後の藩主であり、津和野藩亀井家の12代当主として知られています。1825年、筑後久留米藩主の有馬頼徳の六男として誕生しました。

藩政改革と学問振興

1839年、津和野藩10代藩主・亀井茲方の養子となり、家督を相続しました。1840年には従五位下・隠岐守に叙任されます。1842年には藩政の実権を握り、改革に着手します。 まず、宿老である多胡丹波を隠居させ、新たな人材登用を行いました。特に岡熊臣を登用し、学問の振興に力を注ぎました。江戸深川にあった藩の下屋敷を売却して得た1万両を、教育・学問の振興に投資するなど、積極的な政策を展開しました。1860年には従四位下に昇叙しています。

幕末の対応と新政府への恭順

幕末期、津和野藩は長州藩と隣接しており、佐幕派と尊王派の間で難しい立場に置かれました。1866年の第二次長州征伐では、消極的な立場をとりました。幕府軍の撤退後、幕府が目付として残していた長谷川久三郎を長州藩に引き渡すことで、長州藩との和睦を実現させました。その後は積極的に新政府への恭順の姿勢を示し、1871年の廃藩に際しては、翌年の廃城令に先駆けて居城である三本松城の破却（民間払い下げ）を実行しました。城内社の旧宝物殿に文物が移送されたため、茲監着用とみられる直垂が現在も残されています。

新政府での活動と晩年

1868年1月には新政府の参与に任命され、以後、神祇事務局判事、議定職神祇事務局輔、神祇官副知事などを歴任しました。岡熊臣、大国隆正、福羽美静ら国学系の学者を登用するなど、教育・神道関係の行政に携わりました。1869年6月には版籍奉還により津和野藩知事に任じられ、その後も昇叙を重ねました。1871年6月25日、廃藩置県により藩知事を免官されました。


1876年、家督を養子の茲明に譲り隠居。1881年には勲三等旭日中綬章を受賞しました。そして1885年、東京の小石川邸で61歳で亡くなりました。

まとめ

亀井茲監は、激動の時代に藩主として、藩政改革、学問振興、そして新政府への対応と、多岐にわたる役割を担いました。困難な状況下でも、教育や学問への投資を重視し、柔軟な外交手腕で藩の存続と発展に尽力した人物として、その生涯は高く評価されるべきでしょう。その功績は、現在に受け継がれる津和野の文化や歴史にも深く影響を与えています。また、明六社との関連も注目すべき点です。彼の政治判断や人材登用、そしてその後の政府での活動は、明治維新後の日本の発展にも貢献したと考えられます。 彼の生涯は、幕末から明治へと移り変わる日本の歴史を理解する上で、重要な視点を与えてくれます。

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