岡熊臣

岡熊臣（おか くまおみ）は、江戸時代後期の国学者で、天明3年3月9日（1783年4月10日）に石見国鹿足郡木部村（現在の島根県鹿足郡津和野町）に生まれ、嘉永4年8月6日（1851年9月1日）に亡くなりました。

生い立ちと国学への道

岡熊臣は、富長山八幡宮の神官である岡忠英の子として生まれました。幼い頃から学問に励み、特に国学に強い関心を抱いていました。国学の大家である本居宣長の思想に深く影響を受け、その教えを学ぶため、村田春門の門下に入りました。ここで、国学の基礎をしっかりと身につけ、独自の思想を形成していくことになります。

神職自祭葬運動と教育活動

1811年、岡熊臣は神職自祭葬運動を始めました。これは、神社の祭祀や葬儀を神職自身の手で行うべきであるという主張に基づいたもので、当時の社会に大きな影響を与えました。また、1815年には、私塾である桜蔭館を開設し、後進の育成にも力を注ぎました。桜蔭館では、国学を中心に幅広い学問を教え、多くの人材を育てました。1849年には、津和野藩校である養老館の初代国学教師に就任し、藩の教育にも貢献しました。津和野における国学隆盛の礎を築いた人物として、その功績は高く評価されています。

思想と著作

岡熊臣は、本居宣長の思想と平田篤胤の思想を折衷し、独自の国学理論を展開しました。彼の思想は、神道や日本の古典に対する深い理解に基づいたもので、多くの人々に感銘を与えました。『千世の住処』は、彼の代表的な著作の一つで、その思想がよく表れています。また、『古事記伝』を模して書かれた『日本書紀私伝』も重要な著作であり、日本書紀を独自の解釈で読み解いています。その他にも、『学本論』、『兵制新書』、『読淫祀考』、『読淫祀論』、『農家童子訓』など、多数の著作を残しており、その学識の深さを示しています。

没後

岡熊臣の死後、その功績は高く評価され、1907年には従四位が追贈されました。彼の名は、幕末の国学者として、現在も多くの人々に記憶されています。

主な著作

『日本書紀私伝』
『学本論』
『兵制新書』
『千世の住処』
『読淫祀考』
『読淫祀論』
* 『農家童子訓』

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