餓鬼事経

餓鬼事経について

『餓鬼事経』，またはそのパーリ名である「Peta-vatthu」は、パーリ仏典経蔵の小部に位置する第7経であり、主に餓鬼道に関する教えを扱っています。この経典は、餓鬼道に列せられる者がどのような存在であり、彼らがその道に至るに至った業について詳しく述べています。

構成の概要

『餓鬼事経』は大きく分けて4つの品から成り立っています。各品は異なる視点から餓鬼道を理解する助けを提供しています。

1. 蛇品（Uraga-vagga）: この部分では、餓鬼道の中心となるテーマが示され、蛇形の存在が取り上げられています。餓鬼の生態や心情について語られ、彼らがいかにしてこの惨めな状況に至ったかが説明されています。

2. ウッバリ品（Ubbari-vagga）: この品では、特定のエピソードが取り上げられ、餓鬼道に至った人々の過去の業や、その結果としての苦しみが描かれています。ここでは、業の影響とその回避の仕方について考察がなされます。

3. 小品（Cūḷa-vagga）: 餓鬼の生活や願望について掘り下げる部分です。彼らが抱く苦しみや欲求が、どのように彼ら自身を苛むことになるのかを示しています。

4. 大品（Mahā-vagga）: ここでは、餓鬼道に最も深く関わる哲学や倫理が語られ、教えの重要性が強調されます。この品は、餓鬼道を単なる状態としてではなく、真理や原因を理解するための重要なステップとして位置づけています。

日本語訳と解説文献

この経典は、日本語においても多くの解説があります。具体的には、以下の書籍が挙げられます。

• - 『南伝大蔵経』 （大蔵出版）: この書籍には、経典の基本的な内容が収められています。
• - 『死者たちの物語―『餓鬼事経』和訳と解説』 （藤本晃 著、国書刊行会、2007年）: 経典をテーマにした詳細な和訳と解説が展開されています。
• - 『初期仏教経典 現代語訳と解説―餓鬼事経―死者たちの物語』 （サンガ、2016年）: 初期仏教の観点からの翻訳と解説が提供されています。
• - 『小部経典 第2巻』 （正田大観、Kindle、2015年）: 餓鬼事経を含む小部経典の一部として出版されています。

関連項目

『餓鬼事経』に関連する概念として、「小部」という用語も重要です。これはパーリ語での経典の分類の一つで、他の多くの経典が含まれるセクションとなります。このように、『餓鬼事経』は仏教の深い教えを学ぶための重要な資源であり、多様な文献で探求され続けています。

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