香取型戦艦

香取型戦艦（かとりがたせんかん）

香取型戦艦は、日本海軍において準弩級に分類される艦級で、2隻の艦艇から成り立っています。日本海軍は日露戦争への備えとして、イギリスのビッカース社とアームストロング社に新型戦艦の建造を依頼し、香取と鹿島が誕生しましたが、両艦が完成したのは1906年であり、実際の戦争には間に合いませんでした。

背景と建造の経緯

日清戦争後、日本は海軍力を拡充する必要性から、従来の艦級を超える艦の建造を計画しました。特に、香取型戦艦は第三期の拡張プログラムの一環として位置づけられ、戦艦2隻が同時に発注されました。当初は、イギリスの6社の入札によって1隻の戦艦が発注される予定でしたが、さらにロシア艦隊の増強を背景に、急遽2隻の発注が決定しました。結果的に、香取と鹿島はともにイギリスの造船所で建造されることとなり、両艦は同型艦でありながら、それぞれの造船所に異なる設計や仕様が与えられました。

艦形と設計

香取型戦艦は、典型的な平甲板型の船体構造を持ち、高い乾舷を特徴としています。艦首には伝統的な衝角が取り付けられ、艦のデザインは当時の海軍の要求を満たすものでした。主砲にはアームストロング社の新設計による30.5cm砲が採用され、艦首甲板に配置されています。この主砲は、最大射程21,120mを誇り、高い火力を実現しています。さらに、副砲にはビッカース社の25.4cm砲が使用され、4基の単装砲塔に装備されました。副砲は、最大射程24,600mで精度の高い攻撃が可能でした。

機関と性能

香取型戦艦は、ボイラーにニクローズ式水管缶を20基搭載し、直立型四気筒三段膨張式レシプロ機関を2基もつことで、出力17,350hpを発揮し、速力は20.2ノットに達します。これにより、長距離の航行性能も確保されており、石炭750トンを搭載し、速力10ノットで約10,000海里の航続距離が得られました。

終焉とその後

香取型戦艦は、竣工後しばらくは日本海軍の主力艦として活躍しましたが、1923年のワシントン海軍軍縮条約により、両艦は廃艦となりました。その後、「鹿島」の砲塔が東京湾要塞に運ばれ、要塞砲として使用されるなど、歴史の一部としての役割を果たしました。

同型艦と参考文献

香取型戦艦には、香取と鹿島の2隻が含まれますが、設計の影響からそれぞれの艦には細部において異なる仕様が見られます。参考文献には、『世界の艦船増刊第79集 日本戦艦史』や「軍艦メカニズム図鑑 日本の戦艦」、さらには「日本軍事関連産業史」が挙げられ、香取型戦艦の詳細な情報源として役立ちます。

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