香料メーカー

香料メーカーとは

香料メーカーは、食品用フレーバーや香水、芳香剤などの香粧品用フレグランスを製造する企業群です。フレーバー製造は食品メーカー、合成香料製造は化学メーカーの一分野と捉えられます。通常、香料は食品メーカーや香粧品メーカーからのオーダーメイドで生産されます。

欧米の香料メーカー

香料会社の起源は18世紀の南フランス、グラースに遡ります。1757年に世界初の香料メーカーであるソジオ社、1768年にアントワン・シリス社が創業。1830年代には45社が競い合いましたが、業界再編により多くが姿を消しました。現在グラースに残るのは、1817年設立のシャラボ社、1850年設立のロベルテ社、1871年設立のヴェ・マンフィス社など、大手3社と小規模な調合香料メーカー約10社です。

スイスでは1895年にジボダンとChuit & Naef Company（現フィルメニッヒ）が設立され、この2社が2014年の売上高で世界シェア1位・2位を占めています。Chuit & Naef Companyで合成ムスクなどを研究したレオポルト・ルジチカは、1939年にノーベル化学賞を受賞しました。フランスの香料メーカーが天然物からの抽出を得意とするのに対し、スイスの香料業界は合成香料の製造に強みを持っています。

ドイツでは1874年にハーマン&ライマー社が創業し、世界で初めてバニリンやヨノンの工業生産を行いました。1995年にはフレグランスメーカーのフロラシンス社を傘下に収めています。1919年には総合香料メーカーのドラゴコ社が創業。2002年に投資ファンドEQTがハーマン&ライマーとドラゴコの株式の大半を取得し、翌2003年に両社は統合され、シムライズが設立されました。

オランダで1905年に創業したナールデン社は、1987年にユニリーバ傘下に入り、クエストインターナショナルと社名を変更。1996年にイギリスのICIに買収され、2007年にはジボダンに買収されました。イギリスでは、フレーバーメーカーのブッシュ社、化学合成メーカーのボーク・ロバーツ社、天然香料メーカーのスタッフォード・アレン社が1966年に合併しブッシュ・ボーク・アレン社となりましたが、2000年にアメリカのIFFに買収されています。

アメリカでは、1958年にヴァン・アメリンゲン社がオランダのポーラック＆シュヴァルツ社を買収し、インターナショナル・フレバー・アンド・フレグランス（IFF）社が設立されました。IFFは2014年の売上高で世界3位であり、フレーバー・フレグランス・合成香料の事業比率が均等であるのが特徴です。

日本の香料メーカー

日本の香料メーカーは約200社で、年間国内生産量は8万トン、市場規模は2,000億円程度と推測されています。株式を公開しているのは、高砂香料工業、長谷川香料、曽田香料の3社でしたが、曽田香料は2017年に上場廃止となりました。高砂香料を除く日本の香料メーカーの多くは漢方薬商から発展しており、1893年創業の小川香料、1908年より香料を取り扱い始めた塩野香料など、100年を超える老舗企業も少なくありません。

2005年度の売上高では、高砂香料が583億円、長谷川香料が455億円、小川香料が193億円となっています。世界的に見ると、高砂香料は2014年の売上高で世界5位、長谷川香料は11位です。日本では大規模な業界再編は起きていませんが、長谷川香料は2014年10月にマレーシアのペレスコル社を買収し、ハラール認証への取り組みを進めています。欧米のメーカーがフレーバーとフレグランスをほぼ半々で扱うのに対し、日本の香料業界ではフレーバーの比率が高いのが特徴です。

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