香港移動通訊

香港移動通訊有限公司（CSL Mobile Limited）

香港移動通訊有限公司（CSL Mobile Limited）は、香港を代表する大手電気通信事業者の一つです。香港における携帯電話サービスの黎明期から事業を展開し、技術革新と市場ニーズの変化に対応しながら成長してきました。

設立と初期の事業展開

CSLは、香港電話有限公司（Hong Kong Telephone Company Limited）の移動体通信事業部門として設立されました。1983年に、香港で最初の携帯電話会社として、第一世代携帯電話（1G）規格のNAMTS方式によるサービスを開始しました。1984年には、NEC社が開発したNAMTSシステムを用いて、香港初の公衆無線通信サービスを提供しています。その後、1987年には、より進化したTACSシステムに移行し、「CSL」と「UNITACS」の二つのブランドでサービスを展開しました。この時期、CSLは香港の通信市場におけるパイオニアとしての地位を確立しました。

香港電訊への統合と独立

1990年、親会社である香港電話有限公司が香港電訊（Hong Kong Telecom）に再編され、CSLも「香港電訊CSL」と社名を変更しました。1993年7月には、第二世代携帯電話（2G）規格のGSM 900サービスを「1010」ブランドで開始し、香港で2番目のGSMサービスプロバイダーとなりました。1996年には、若年層をターゲットとしたブランド「One2Free」を立ち上げ、顧客層の拡大を図りました。1997年には、D-AMPSおよびGSM 1800の運営免許を持つ「訊聯電信」を買収し、D-AMPSサービスを「1+1」ブランドで、GSM 1800サービスを「1010」と「One2Free」ブランドで提供を開始し、デュアルバンドネットワークを構築しました。

テルストラ傘下と新世界発展との合弁

2001年、香港電訊はパシフィック・センチュリー・サイバーワークス（PCCW）に買収され、香港電訊CSLの株式の60%がオーストラリアの通信会社テルストラ（Telstra）に売却されました。これにより、CSLの中国語社名は「香港流動通訊有限公司」に変更されましたが、英語社名は「CSL」のまま維持されました。2002年には、テルストラが残りの株式もすべて取得し、CSLはテルストラの完全子会社となりました。同年、CSLは香港政府から第三世代携帯電話（3G）の運営免許を取得しました。2004年12月には、W-CDMA方式による3Gサービスを開始しました。2005年には、D-AMPSのサービスが終了し、同じ年に、新世界発展との合弁により「Telstra CSL」を設立しました。新世界発展の携帯電話事業を統合し、同社の株式の一部を取得。2006年4月1日、「CSL New World Mobility Group」が新たに設立され、新世界発展のブランドであった「新世界傳動網」もこのグループ傘下となりました。

その後の展開

2008年には、「新世界流動電話公司」が「香港移動通訊有限公司」に社名変更し、事業本部もCSL本部に移行しました。2009年には、「Next G」ブランドでHSPA+サービスを開始し、3.5G技術を導入しました。同年に、将来的な第4世代移動通信システム（LTE）の導入も発表しています。2010年には、データ使い放題プランの容量制限に関する問題が発生し、香港政府の電信管理局から罰金を科せられました。2012年には、業界全体でデータプランの見直しが進む中、CSLはデータ使い放題プランを維持しつつ、データ容量制限を設けるという、競合他社とは異なる戦略を示しました。これにより、同業他社はデータプランの撤回を余儀なくされ、CSLの競争戦略の巧妙さを示す出来事となりました。

主なブランド

1010: ハイクラス層向けのブランドとして、高品質なサービスを提供しています。
One2Free: 若年層向けのブランドとして、手頃な価格で多様なサービスを提供しています。
新世界傳動網: 新世界発展傘下のブランドとして、特定の顧客層に向けたサービスを提供しています。

現在のCSL

CSLは、長年にわたり香港の通信市場を牽引してきた企業の一つです。常に最新の技術を導入し、顧客のニーズに応える柔軟なサービスを提供しています。データプランの提供方法を巡る業界内の動きは、常に注目を集めています。競争の激しい香港市場において、CSLはこれからもその存在感を維持し、進化を続けていくでしょう。

脚注

外部リンク

香港移動通訊有限公司　オフィシャルサイト
1010　オフィシャルサイト
One2Free　オフィシャルサイト
* 新世界傳動網　オフィシャルサイト

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