PCCW

PCCW（電訊盈科有限公司）は、香港に本社を置く大手通信企業です。その歴史は、アジア有数の大富豪である李嘉誠氏の次男、李沢楷（リチャード・リー）氏が設立した事業投資会社、パシフィック・センチュリー開発（Pacific Century Development）に遡ります。

当初、同社はIT分野を中心に多角的な事業展開を行っていましたが、経営は必ずしも順調ではありませんでした。その後、社名をパシフィック・センチュリー・サイバーワークス社（Pacific Century Cyberworks Limited）と改称し、さらに2002年には現在のPCCW社（PCCW Limited）へと変更されました。現在も李沢楷氏が社長を務めています。

香港テレコム買収とその後

PCCWが大きく飛躍するきっかけとなったのが、2000年8月17日に行われた香港電訊（香港テレコム）の買収です。この買収劇では、シンガポール国有企業のシンガポール・テレコムも買収を試みていましたが、PCCWは政府の支援のもと中国銀行からの資金調達に加え、HSBC、BNPパリバ、バークレイズといった金融機関からの融資も取り付け、競り勝ちました。この買収により、PCCWは香港最大の通信事業者となり、ISP事業も展開することとなりました。

しかし、この成功の裏で、ITバブルの崩壊という大きな波が押し寄せます。PCCWは巨額の債務を抱え、資産を処分せざるを得ない状況に陥りました。

サイバーポート計画

2000年3月には、リチャード・リー氏率いるパシフィック・センチュリー・グループが、香港政府および当時の香港行政長官である董建華との間で、香港島に「サイバーポート」というハイテク複合施設を開発する協定を締結しました。この計画は、実質的にはオフィスビルなどの不動産開発事業であり、テクノロジー企業の誘致を目的としていました。サイバーポートは後にPCCWに引き継がれました。

日本での展開

PCCWは、豊富な資金調達力を背景に、日本でも積極的な事業展開を行いました。東京駅八重洲口の旧国鉄所有地を取得し、高層オフィスビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」を建設し、「フォーシーズンズホテル丸の内東京」を併設するなど、話題を集めました。しかし、このビルは2006年9月20日に、約2000億円でダヴィンチ・ホールディングス系の不動産投資ファンドに売却されています。

IPTVサービス「nowTV」

2003年には、李沢楷氏がPCCWを通じて、世界初となるIPTVサービス「nowTV」を開始しました。これは、従来のテレビ放送とは異なり、インターネット回線を利用して番組を配信する革新的なサービスでした。

その他の関連情報

PCCWは、かつてジャレコやメディアッティ・コミュニケーションズといった企業とも関連がありました。また、長江実業グループ（CKハチソン・ホールディングス）との繋がりも深く、関連企業には、ViuTVなどがあります。

現在、PCCWは香港を代表する通信企業として、さまざまな事業を展開しています。

関連情報

ジャレコ
メディアッティ・コミュニケーションズ
フォーシーズンズホテル丸の内東京
CKハチソン・ホールディングス / 長江実業
Now TV
ViuTV

外部リンク

公式サイト（英語）
サイバーポート(數碼港)

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