香焼町

香焼町（こうやぎちょう）とは

香焼町は、かつて長崎県西彼杵郡に存在した町です。1898年に深堀村から分村し、2005年に長崎市へ編入合併しました。現在は長崎市香焼町としてその名を残し、造船業を中心とした地域として知られています。この記事では、旧香焼町の歴史や地理、文化、そして現在の長崎市香焼地区について詳しく解説します。

地理

香焼町は、もともと香焼島と陰ノ尾島という二つの離島からなっていました。しかし、戦前戦後の造船業や石炭産業の発展に伴い、大規模な海面埋め立てが行われ、1960年代後半には長崎市と陸続きになり、長崎半島の一部となりました。

香焼島の南西には横島があり、かつては炭鉱で栄えましたが、閉山後に沈下が進み、現在は岩礁となっています。

主な山:

遠見岳
天神山
高岳

主な港湾・海域:

長崎湾
大中瀬戸

町名の変遷

1898年の分村以来、香焼町は番地のみで表記されていましたが、2005年の長崎市との合併時に、旧町域全体が長崎市香焼町（こうやぎまち）となりました。

自治会:

馬手ヶ浦、長浜、堀切東、堀切西、深浦、深浦団地、田の浦、田ノ浦団地、浦下、浦上、里、尾ノ上、本村団地、丹馬、安保、恵里、栗の浦、辰ノ口、海老瀬

歴史

香焼町は、戦前には川南工業（造船業）や安保炭坑によって栄えた島でした。特に戦時中は、日本軍向けの輸送船を大量に生産していました。

戦後、川南工業の経営が悪化し、町の財政は厳しさを増しました。この時期、町と川南の間には確執がありました。

その後、革新系の町長である坂井孟一郎氏が長期間にわたり町政を担い、全国的にも注目される革新自治体となりました。

1969年、長崎県による海面埋め立てにより陸続きとなったことをきっかけに、長崎市との合併が勧告されました。しかし、町民自ら合併の是非を調査し、その結果、この時は合併を見送りました。

平成の大合併では、周辺の町とともに長崎市との合併協議に入りました。当時の町長のリコールなどを経て、2005年1月4日に伊王島町、高島町、野母崎町、三和町、外海町とともに長崎市へ編入され、香焼町は自治体としての歴史を終えました。

行政区域の変遷

1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、深堀村、大籠村、香焼村が合併し、西彼杵郡深堀村が成立。
1898年（明治31年）7月1日：深堀村から大字香焼が分離し、香焼村が発足。
1961年（昭和36年）11月3日：町制施行により香焼町となる。
2005年（平成17年）1月4日：長崎市に編入され、自治体として消滅。

歴代町長

山下幸三（1898年 − 1902年）※初代村長
山下幸吉（1914年 − 1920年）※第5代、6代村長
坂井孟一郎（1947年 - 1987年）※1961年11月2日までは村長
坂井猛（1987年 - 1996年）
徳永繁富（1996年 - 2004年1月11日失職、同年2月15日 - 2005年1月3日）

交通

バス路線

長崎バス: 町内にある恵里バス停まで毎時2本程度のバスが運行しています。平日には、伊王島方面への便や、長崎市街方面から香焼修繕部へ向かう便も一部あります。
長崎市コミュニティバス: 香焼三和線が平日に4往復程度運行しています。

道路

長崎県道29号香焼江川線

名所・旧跡・観光スポット

香焼町総合公園: 自然豊かな公園で、地域住民の憩いの場となっています。
展望台: 町内には、長崎の海や街並みを一望できる展望台があります。
円福寺: 観光百選にも選ばれた場所です。

祭事・行事

長崎半島五活祭
弘法大師祭り
町民ペーロン大会

参考文献

角川日本地名大辞典 42 長崎県
中里喜昭『香焼島－地方自治の先駆的実験』晩聲社、1977年。
坂井孟一郎『香焼町奮戦記－憲法を暮らしに生かす町』あけび書房、1985年
西彼杵郡現勢一班「香燒村現勢概要」 1926年（国立国会図書館デジタルコレクション）

関連項目

長崎県の廃止市町村一覧
長崎市の地名

外部リンク

長崎県香焼町（2004/12/12アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project
* 長崎地域合併協議会（2004/11/21アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project

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