香蘭女学校中等科・高等科

香蘭女学校中等科・高等科（St. Hilda's School）は、東京都品川区旗の台に所在する、中高一貫教育を提供する私立女子校です。キリスト教（日本[[聖公会]]）系のミッションスクールであり、1学年約176名という規模で運営されています。同じく日本[[聖公会]]系の立教大学への関係校推薦制度があるのも特徴です。

概要

1888年（明治21年）4月、英国聖公会から派遣されたエドワード・ビカステス主教によって麻布に開校しました。当初は小学科も併設されていましたが、現在は中高のみとなっています。1912年（大正元年）に芝区白金へ移転し、この日を創立記念日と定めています。生徒数増加に伴い、1941年（昭和16年）に現在の旗の台の地に移転しました。校名は、1965年（昭和40年）に「香蘭女学校中[[学校]]・高等学校」から現在の「香蘭女学校中等科・高等科」に変更されています。

「女学校」の名を冠する数少ない学校の一つであり、1920年（大正9年）には日本におけるガールスカウト発祥の地ともなりました。現在でも部活動としてガールスカウト活動が可能です。完全中高一貫教育を実施しており、立教大学への推薦枠も160名程度設けられています。

教育方針

過度に信仰に偏ることなく、理性的で良識を重んじ、伝統の価値を尊重する教育を実践しています。日本古来の女性の美徳とキリスト教倫理を融合させ、豊かな教養と品性を育むことを教育理念としています。いわゆる「和魂洋才」の精神を、キリスト教の倫理観を基盤に涵養する女子教育を行っているのが特徴です。

象徴

校名の由来

校名の「香蘭」は、『孔子家語』の「芝蘭の交わり」に由来します。芝蘭とは、霊芝と蘭を指し、優れた人物のたとえとしても用いられます。この校名には、良い人と共に過ごすことで、その良い影響を受け、立ち振る舞いや価値観を身につけてほしいという願いが込められています。

また、欧名であるSt. Hilda's Schoolは、守護聖人聖ヒルダにちなんで名付けられました。11月17日は聖ヒルダの日とされ、学校の重要な行事や施設にその名が冠されています。

制服

1963年、イギリスの学生服を参考に、明紺色のブレザーと明灰色のセミタイトの吊りスカートが制定されました。ブレザーの胸にはエンブレムのワッペンが取り付けられています。しかし、吊りスカートを狙った盗難やストーカー行為が多発したため、2003年に吊りスカートは廃止され、箱ひだスカートに変更されました。同時に、上着のポケットがフタ付きになるなどの変更も行われています。2022年には、スラックスやグレーの夏用ワンピースが追加され、より多様な選択肢が提供されるようになりました。

ブラウスには「SHS」の刺繍が施されており、靴下もハイソックスで、夏は白、冬はグレーのSHS刺繍入りのものが指定されています。その他、鉄紺色の肩掛け鞄や紺色のセーターなども使用されます。革靴は黒色が推奨されています。

校歌

校歌は、1910年の火災で一時的に失われましたが、卒業生の協力により復活しました。戦前は4番までありましたが、戦後、歌詞の一部が変更されています。2011年には創立記念日に歌うお祝いの歌の歌詞が発見され、生徒から作曲を募集しました。

校則

課業

以前は7時間授業で土曜日を休みにしていた時期もありましたが、生徒の意見を踏まえ、現在は6時間授業で土曜日も授業を行う形態に戻っています。

施設

校内施設

講堂: 1200名収容可能で、礼拝だけでなく音楽や演劇、講演会など多目的に利用されます。3階には音楽室、アートルーム、被服室があります。
本館: 内井昭蔵氏設計で、レンガ造りの美しい3階建ての建物です。中等科と高等科1・2年の教室、メディアルーム、保健室、生徒会室などがあります。1階には売店があり、生徒ホールは生徒の憩いの場となっています。
東館: 高等科3年生の教室と、理科の実験室、英語教室があります。2004年に耐震工事が実施されています。
南館: 円筒形の建物で、図書室、調理室、多目的ホール、視聴覚室などがあります。
聖ヒルダ記念館: 1990年に創立100周年を記念して建てられました。視聴覚室、コンピューター室、和室、茶室などがあります。
ビカステス記念館: 英国風の建築で、八角形のサロンとチャプレン室、面談室があります。キリスト教センターとして利用され、専門の担当者が生徒の相談に乗っています。庭園は本格的なイングリッシュガーデンとして整備されています。
芝蘭庵: 2005年に建てられた本格的な茶室です。「芝蘭の室」に由来し、日本文化の教育の象徴となっています。
体育館棟: 2008年に竣工。アリーナ、更衣室、小ホール、屋上庭園などがあります。
校庭: 人工芝のグラウンドで、テニスコートや陸上トラックがあります。
築山: 創立当初からある自然豊かな場所です。
管理棟: 校長室、職員室、事務室などがあります。
西のお庭: 生徒が野菜などを栽培している場所です。

郊外施設

清香寮（北軽井沢山荘）: 1959年竣工。中等科の山荘生活や校外活動に利用されています。

学校行事

4月：入学式、学年別研修
5月：運動会
9月：創立記念礼拝
10月：ヒルダ祭
11月：バザー
12月：クリスマス礼拝
2月：中学入試
3月：卒業式

入試

中学入試のみで、2月1日と2日に行われます。

交通

東急池上線・大井町線「旗の台駅」から徒歩5分です。

沿革

1887年：香蘭女学校設置が認可される。
1888年：エドワード・ビカステス主教により創立。
1910年：火災により校舎焼失。
1912年：芝区白金に新校舎建設。
1920年：日本女子補導団東京第一組が創設（ガールスカウト発祥）。
1941年：現在地に移転。
1945年：空襲により校舎焼失。
1963年：制服制定。
1965年：校名を香蘭女学校中[[学校]]・高等学校とする。
2008年：校名を香蘭女学校中等科・高等科に変更。

著名な出身者

福澤八重、小泉とみ、バチェラー八重子、辰巳浜子、細川ちか子、吉野トヨ子、谷口恵美子、兼高かおる、黒柳徹子、青山京子、カルメン・マキ、和由布子、上橋菜穂子、片桐はいり、荒多惠子、大塚寧々、佐伯桃子、池谷麻依、春風亭一花、華雅りりかなど、各界で活躍する多くの人材を輩出しています。

脚注

香蘭女学校公式サイト

関連項目

ガールスカウト
聖公会
東京都中[[学校]]一覧
東京都高等学校一覧
旧制中等教育学校の一覧 (東京都)

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