香西寺

香西寺（こうざいじ）

香西寺は、香川県高松市にある真言宗大覚寺派の寺院で、寶幢山、地蔵院とも呼ばれています。寺院の本尊は延命地蔵菩薩であり、四国別格二十霊場の第十九番札所、さらに四国三十三観音霊場の第三十三番札所、さぬき七福神の毘沙門天でもあります。

本尊と御詠歌

本尊の真言は「おん かかかびさんまえい そわか」であり、訪れるひとたちに深い信仰をもたらしています。また、寺には二つの御詠歌があり、信者たちはこれを唱えることで心を落ち着け、願いを伝えます。

• - 南無大悲 延命地蔵 大菩薩 みちびきたまへ この世のちの世（別格）
• - 暮れぬれば さめてねるらむ 酔芙蓉 仏のつねの 笑みにだかれて（四国観音）

歴史

香西寺の歴史は古く、奈良時代の天平11年（739年）に行基が勝賀山北麓に庵を結び、宝幢を刻んだことに始まります。彼はこの地を宝幢山勝賀寺として創建しました。この場所は「奥の堂」と呼ばれ、奈良時代から平安時代の瓦片が出土しており、寺院跡と考えられています。

その後、平安時代前期の弘仁8年（817年）に空海（弘法大師）が現在の地点に寺を移し、地蔵菩薩像を刻み安置したとされています。香西寺は、嵯峨天皇の勅願寺としても知られ、朱雀天皇の時代には勅旨讃岐四談議所の一つとなりましたが、その後は衰退していきました。

鎌倉時代に入ると、この土地を治める豪族・香西左近将監資村が幕府の命により寺院を再興し、香西寺と改名されました。その後、香西氏の保護を受けながら成長していきます。

南北朝時代には文治が佳境に達し、室町幕府の守護大名である細川頼之が本津（現在の香西東町）に移転し、香西氏の11代目当主の香西元資が地福寺と改称しました。これも歴史的に重要な変転の一つです。

戦国時代には、天正年間（1573年–1592年）の戦火により寺院は焼失しましたが、桃山時代に讃岐国の大名生駒親正が復興し、名称を高福寺に改めました。江戸時代には万治元年（1658年）の失火により再び伽藍が焼失し、現在の地に再度移転しました。

その後、寛文9年（1669年）には高松藩の初代藩主松平頼重が伽藍を整備し、別格本山香西寺と改称しましたが、その後も火災に見舞われ、再建が余儀なくされています。

境内の構成

香西寺の境内は、山門（仁王門）から本堂へと続く参道があります。本堂内には愛染明王と毘沙門天が脇仏として安置されています。

さらに、本堂の右側には毘沙門堂があり、国の重要文化財に指定されている毘沙門天立像が祀られています。大師堂には弘法大師が本尊として安置されており、両側には八幡菩薩と不動明王が配されるなど、多彩な仏像が礼拝の場を形成しています。

納経所は仁王門をくぐって左側に位置し、訪れる人々に信仰の場としての役割を果たしています。さらに、水子地蔵や水かけ地蔵といった特色ある施設も兼ね備えています。

文化財

香西寺には重要文化財である木造毘沙門天立像が存在し、その高さは101センチメートルで、平安時代中期の作品として評価されています。昭和16年には国指定文化財として認定されています。

アクセス

香西寺へのアクセスは、鉄道の場合は四国旅客鉄道（JR四国）の予讃線・香西駅から約1.3キロメートルの距離です。また、道路を利用する場合は、香川県道16号高松王越坂出線沿いにあり、香西芝山から約0.3キロメートルの位置にあります。自動車道には高松自動車道の高松檀紙ICまたは高松西ICからもアクセス可能です。

香西寺は四国別格二十霊場の18番の海岸寺からは33.3キロメートル、20番の大瀧寺までは41.1キロメートルの距離にあり、四国三十三観音霊場の32番総蔵寺からは隣接している重要な札所です。

この歴史的な寺院は多くの信者や観光客によって訪れ、香川県の文化と歴史を体験できる場所となっています。

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