杜桐

杜桐（と とう）

杜桐（生没年不詳）は、明代の軍人であり、字を来儀と称しました。本貫は蘇州府崑山県で、弟に杜松がいます。彼の生涯は、崑山県から延安衛への移住とともに始まりました。

生涯

万暦帝の治世初期、杜桐は世襲の恩恵である蔭官によって清水営守備に任命され、その後のキャリアを築きました。彼は知略と勇気に優れており、その能力は広く知られていました。延綏に入衛すると、游撃将軍に昇進し、その後、古北口参将に転じました。総督の梁夢龍の推薦により、延綏副総兵に抜擢され、その地位を確固たるものとしました。万暦14年（1586年）には、署都督僉事に任じられ、最終的に総兵官の地位にまで昇りつめました。

万暦18年（1590年）には、オルドス部のボショクト・ジノンが青海部長の火落赤を支援し、河西に侵入するという事件が発生しました。これにより、モンゴル諸部が明の北辺で騒乱を起こすようになり、情勢は緊迫しました。万暦19年（1591年）の冬、打児漢の子である土昧と別部の明安が楡林近郊に侵入した際、杜桐は巡撫の賈仁元とともに討伐計画を立て、自ら軍を率いて出陣しました。参将の張剛は神木堡から、游撃の李紹祖は孤山堡から、そして杜桐は軽騎を率いて楡林から出撃し、三方から敵を挟撃する作戦を展開しました。敵軍との激戦の末、杜桐は敵を打ち破り、470人以上を斬首する大勝利を収め、明安を討ち取ることに成功しました。この功績により、以前に弾劾を受けて罷免されていた杜桐は、右都督・僉書後府に任じられ、再び要職に返り咲きました。

万暦21年（1593年）、杜桐は総兵官として保定に駐屯しました。万暦24年（1596年）には、延綏総兵官に転じ、北方の守りを固めました。さらに万暦25年（1597年）には、寧夏総兵官に転任し、その地でも活躍しました。著力兎・宰僧が侵入してくると、杜桐は水塘溝でこれを迎え撃ち、120人余りを捕獲または斬首するという戦果を上げました。万暦27年（1599年）、著力兎・宰僧らが諸部を糾合して平虜・興武に侵攻した際には、杜桐は馬孔英、鄧鳳、蕭如蕙（蕭如薫の兄）らの諸将を率いて著力兎らを連破し、200人余りを斬首しました。これらの戦いを通じて、杜桐の武勇と指揮能力は広く知れ渡りました。

万暦30年（1602年）、孫維城・黄嘉善らの協議により、モンゴル諸部を宥めるために朝貢互市が復活しました。これにより、内閣大学士以下の文臣たちが官位を進められましたが、杜桐は既に職を辞していたため、銀幣を賜るにとどまりました。その後、長らくを経て、杜桐は自宅で静かに生涯を終えました。

杜桐の子には杜文煥がいました。

参考文献

* 『明史』巻239 列伝第127

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