馬山浦事件

馬山浦事件の概要

馬山浦事件（まさんほじけん）は、1899年に発生した歴史的な出来事で、ロシア帝国が大韓帝国南部に位置する馬山浦を占拠し、そこに単独租界を設けようとしたことを指します。この事件は、近代における日露の緊張関係の一環として捉えられています。

事件の背景

19世紀末、日本とロシアは東アジアにおける勢力拡大を巡って対立を深めていました。特に、慶尚南道の馬山浦周辺は、その地理的条件から戦略的な重要性を持っており、対馬海峡に近く、鎮海湾を抱える地域として注目を集めていました。ロシアは、軍港として利用できる不凍港を求めており、そのための基地を設営したいと考えていました。

1898年3月には、「旅順・大連租借条約」が清国との間で結ばれ、ロシアは遼東半島南端の旅順港と大連湾を利用できる権利を確保しました。一方で、これに対し日本は、大韓帝国を巡るロシアの動きが自国の安全を脅かすものであると感じ、強い危機感を抱いていました。

西・ローゼン協定

このような緊張を受けて1898年4月、東京で日本の外務大臣西徳二郎と駐日ロシア公使ロマン・ローゼンの間で西・ローゼン協定が交わされました。この協定では、ロシアが韓国における日本の投資や商工業の発展を認めることが合意され、双方の関係が一時的に和らぐこととなります。

しかし、協定後も日露の対立は続き、1899年4月にはロシアのパヴロフ駐韓公使が馬山浦に軍艦で入港し、本格的な占拠を試みました。彼は東洋汽船会社の杭を打ち込み、馬山浦の割譲を求めて大韓帝国政府に圧力をかけました。これに対抗し、韓国の朴斉純外部大臣は駐露公使の林董に連絡を取り、日本側も釜山在住の商人を通じて周辺地域の土地を買収する動きを見せました。

争奪戦とその結果

こうして、1899年から1900年にかけて、日本とロシアの双方が馬山浦を巡る買収活動を展開しました。結局、ロシアの単独租界の設置および軍港築港の計画は失敗に終わりましたが、馬山浦は朝鮮半島における第五の開港地として重要な役割を果たすこととなります。

馬山のその後

馬山には、日本人居留地が設けられ、日露戦争までロシアの租界も存在しました。その後、昌原府は1910年に馬山府に改名され、1914年には開港地を管轄する府制に基づく馬山府が設立されました。これにより、馬山は商業の中心地として急速に発展しました。

感想

馬山浦事件は、日露両国間の緊張を象徴する出来事であり、韓国の近代史においても重要な位置を占めています。この事件を通じて、韓国と周辺国との関係が一層複雑になり、その後の歴史にも深い影響を及ぼすことになりました。

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