駅起稲

駅起稲（えききとう）についての詳細

駅起稲とは、古代日本において駅の管理及び運営に必要とされた稲のことで、財源としての役割を果たしていました。特に「大宝律令」においてその名称が定められ、後の「養老律令」において駅稲（えきとう）と呼ばれるようになりました。この制度にはいくつかの問題点が指摘されており、駅起稲の役割と重要性について詳しく見ていきます。

概要

古代の交通網を支える駅制度では、その規模に応じた駅起田が設けられ、駅戸によって稲作が行われていました。駅起稲は、この駅起田で収穫された稲のことであり、その多くは駅家に付属していた倉庫に保管され、出挙として運用されていました。この出挙によって得られた収穫物は、駅使（駅を利用する人々）の食事や、駅馬の買い替えといった経費に充てられていました。

駅起稲の管理は、国司が毎年駅起稲帳を作成し、その内容を報告することで行われていました。しかし、天平11年（739年）に官稲混合が実施され、駅起稲は正税に統合されることとなります。この出来事は駅起稲制度に大きな影響を与え、以降の処遇に関する議論を引き起こしました。

養老律令と駅稲の復活

その後、施行された養老律令では駅稲に関する規定が再登場します。これにより、駅稲が復活したとする見解が存在します。しかし一方で、養老律令の編纂が官稲混合以前の養老年間に行われ、その後の制度変更が反映されていないため、実質的には空文化に過ぎないのではないかという見方もあります。このような意見は、当時の交通制度が抱えた問題を考える上で重要な視点となります。

結論

駅起稲は、古代日本の交通体系における重要な財源であり、駅の運営において欠かせない存在でした。駅起稲の制度やその後の変遷は、当時の社会制度や経済構造を理解するための手がかりとなります。この制度がどのように発展し、変化していったのかを考察することは、古代日本の歴史をより深く理解する助けとなるでしょう。

参考文献

• - 田名網宏「駅稲」（『国史大辞典 2』（吉川弘文館、1980年） ISBN 978-4-642-00502-9）

関連項目

• - 官稲

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