駒込天祖神社

駒込天祖神社は、東京都文京区本駒込に位置する神社で、その歴史は12世紀末にまで遡ります。伝えられるところによれば、文治5年（1189年）、源頼朝が奥州征伐の際に、夢で神託を受け、この地に神明を祀ったのが始まりとされています。

当初は宮守も不在の時期もありましたが、慶安年間（1648年-1652年）に堀丹後守利直によって再興されました。江戸時代には駒込神明宮と称され、駒込村の総鎮守として地域の人々に深く信仰されていました。しかし、第二次世界大戦中の空襲により社殿は焼失。その後、氏子各町の熱意によって1954年（昭和29年）に再建され、現在の姿に至っています。

地元の人々からは、かつて「お神明さま」として親しまれてきました。

祭神

祭神は、天照皇大神（あまてらすおおみかみ）です。これは伊勢神宮に祀られている神と同じであり、当社の社殿が神明造りであることからも、その繋がりが伺えます。

由緒

社伝によると、源頼朝がこの地を訪れた際、夢の中で松の枝に幣がかかっているというお告げを受けました。家臣の安達盛長に探させたところ、実際に松の枝に大麻が見つかり、それによって頼朝は神明を祀ることを決めたと言われています。

江戸時代の地誌『江戸砂子』には、かつて直径1.2メートル余りの大きな神木があったと記されています。しかし、享保年間（1716年-1736年）に枯れてしまい、神社も一時的に衰退しましたが、堀丹後守利直によって再興されました。1945年（昭和20年）の空襲で再び焼失したものの、戦後には再建され、参道敷石の整備や大鳥居の建設、植樹などが行われ、緑豊かな落ち着いた境内が保たれています。

また、近隣の駒込富士神社は当社が兼務しています。

境内末社

境内には以下の末社が祀られています。

鎮火稲荷神社：宇迦御魂命（うかのみたまのみこと）を祀る
三社合祭社：以下の三社を合祀
榊神社：淤母陀流神（おもだるのかみ）、阿夜訶志古泥神（あやかしこねのかみ）を祀る
須賀神社：須佐之男命（すさのおのみこと）を祀る
戸隠熱田神社：天手力男命（あめのたぢからおのみこと）、倭健命（やまとたけるのみこと）を祀る
境外末社
御林稲荷神社：倉稲魂命（うかのみたまのみこと）を祀る

その他

平安時代末期には、伊勢の神官である度合氏が源頼朝のために祈祷を行ったことで関東に伊勢神領地が生まれたとされていますが、当社にはそれ以前から祀りの場が存在していた可能性も指摘されています。天保8年（1837年）の『東都歳時記』には、当時の祭礼の様子が記されており、鹿島踊りが奉納されていたことがわかります。この鹿島踊りでは、若者が女装して腰巻を帯の下にまとって神事を行っていたとされていますが、宝暦9年（1759年）以降は行われなくなったそうです。

江戸時代には駒込神明宮と呼ばれ、付近の旧町名は駒込神明町でした。現在では、神明上町会（宮元町会・本駒込3丁目付近）が駒込天祖神社の膝元として存在し、地域の人々によって守り継がれています。

氏子会

駒込天祖神社の氏子会には、以下の町会が名を連ねています。

神明上町会（宮元町会）
神明町会
上富士町会
吉片町会
上動五三会
神明西部町会
動坂中町会
浅嘉町会
駒二親和会
富士前町会
千駄木東林町会
千駄木西林町会
動坂町会

神事

駒込天祖神社では、以下の神事が執り行われています。

例大祭：毎年9月16日に式典が行われ、その前後の土曜日・日曜日には町神輿の渡御が行われます。氏子13町会の連合神輿が本郷通りに集結し、一斉に宮入する様子は圧巻です。
神幸祭：4年に一度行われる大規模な祭典です。1922年（大正11年）に制作された本社神輿は、「千貫神輿」とも呼ばれる大神輿です。2000年（平成12年）には氏子会の尽力により修復され、44年ぶりに氏子区域内を渡御しました。以降、4年に一度、氏子13町会の全域を巡る神幸祭が行われています。

交通アクセス

東京メトロ南北線「本駒込駅」より徒歩11分
都営地下鉄三田線「千石駅」より徒歩15分
JR山手線・東京メトロ南北線「駒込駅」より徒歩16分
都営バス茶51「駒込富士前」より徒歩3分

参考文献

斎藤長秋 編『江戸名所図会』3巻、有朋堂書店、1927年
『新編武蔵風土記稿』 巻ノ19豊島郡ノ11、内務省地理局、1884年

外部リンク

文京区 天祖神社 (文京区)
駒込天祖神社公式サイト

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