高安寺 (恵那市)

高安寺

高安寺は、岐阜県恵那市長島町永田に位置する曹洞宗の寺院です。泰養山を山号とし、恵那三十三観音霊場の三番札所として知られています。本尊は千手観世音菩薩です。

歴史

創建と初期

高安寺の創建については、複数の記録が残されています。天正17年（1589年）の太閤検地帳には、慈現寺という寺院が永田村に存在したことが記されていますが、慈現寺と高安寺の直接的な関係を示す資料は見つかっていません。

寺伝によれば、高安寺は寛永20年（1643年）に、永田村の住民からの要請を受けた曹洞宗の宗門が、教化道場を開くために、大林寺の徳外玄隆を遣わしたことが始まりとされています。徳外玄隆は、高安寺の草創開山となり、泰養山高安寺と号しました。その後、徳外玄隆は大林寺との兼住となり、まもなく育翁養公を二世として教化と管理を委ねました。

明暦元年（1655年）には、育翁養公が住職を務める中で、村民の心の拠り所として、阿葉院殿により現在の本尊菩薩が祀られました。

中興と復興

その後、高安寺は一時的に衰退しましたが、三世の瞻岩存尭によって中興されました。文政2年（1819年）には、曹洞宗の宗門により平僧地から法地に格上げされ、瑞巌台橋が住持に任命されました。

明治4年（1871年）の廃仏毀釈により、飯地村には寺院がない状態となり、高安寺は一時的に荒廃しました。しかし、当時の住職であった絶學祖廣（木村祖廣）は、隠棲していたにもかかわらず、この状況を憂い、私財を投じて寺の復興に尽力しました。宅地、家屋、田畑、山林を購入し、沖田を開墾するなど、寺の基盤を固めました。

明治42年（1909年）には、静岡県の大円寺の久岩全良が開山した自法庵の寺号を移すことによって、大正元年(1912年)に曹洞宗の寺院として自法寺を開山しました。その後、昭和5年(1930年)には、自法寺の住職であった天外祖英（木村祖英）が高安寺に転住し、教化と伽藍の整備が進められ、現在に至っています。

現在

高安寺は、長い歴史の中で様々な変遷を経てきましたが、地域の人々の心の拠り所として、その存在意義は今もなお変わらず、地域に根付いた寺院として信仰を集めています。

関連寺院

高安寺は、以下の寺院と関連があります。

瑞現寺（恵那市）
自法寺（恵那市）
大林寺（中津川市）
大洞院（中津川市）

脚注

出典

『恵那市史』通史編 第2巻 第八章 江戸時代の社会生活と文化 第二節 社寺と文化 二 仏教と寺院 高安寺 p1056～p1058
『恵那郡史』第八篇 現代 第四十一章 人文の発展(一) 【各宗寺院】 p612～p619 恵那郡教育会 1926年

もう一度検索