高山象三

高山象三（たかやま しょうぞう）は、1924年1月29日に東京で生まれた新劇俳優です。父は俳優の薄田研二（本名：高山徳右衛門）であり、幼少の頃から演劇に親しむ環境で育ちました。

小学校2年生の時には、姉のツマ子と共に東京少年劇団に入団し、早くから舞台の世界に足を踏み入れました。その後、日本大学芸術科に進学し、演出を専攻。同級生には俳優の佐野浅夫がいます。大学卒業後、徴兵検査で丙種合格となり、父や徳川夢声、丸山定夫らが結成した劇団「苦楽座」で俳優として活躍しました。

1945年、苦楽座を再編した移動劇団「桜隊」に参加。園井恵子と丸山定夫が主演した舞台「無法松の一生」では、吉岡小太郎役を演じました。舞台監督兼俳優として広島に滞在中、1945年8月6日に原爆に被爆しました。被爆当日は比治山に避難し、一夜を過ごしました。その後、海田市の知人宅に身を寄せ、復旧した臨時列車に乗車。

8月8日には、園井恵子と共に神戸の園井の後援者宅にたどり着きましたが、急性放射能障害により体調が悪化。園井恵子が病床に伏せる隣室で、8月20日に息を引き取りました。わずか21歳という若さでした。

高山の墓所は、東京都品川区の妙蓮寺にあり、墓標には「この世の最大の歓喜とはどんなものであるか。この世の至高の幸福とはどんなものであるか。耐え努め知ろうとして、しかもむなしく消え去った。若き芸術家の墓」と刻まれており、父である薄田研二と共に眠っています。

高山の生涯は、八田元夫によって『ガンマ線の臨終 ヒロシマに散った俳優の記録』としてまとめられました。この書籍は、もともと『働く婦人』に掲載された「ガンマ線の臨終」を元にしており、園井恵子と高山の最期の様子が詳細に記されています。被爆という悲劇に見舞われ、短い生涯を終えた高山象三の存在は、原爆の悲惨さと、その中で生きた人々の姿を今に伝える貴重な記録です。彼の死は、演劇界のみならず、多くの人々に深い悲しみと衝撃を与えました。

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