高崎正秀

高崎正秀

高崎正秀（たかさき まさひで、1901年10月16日 - 1982年3月2日）は、昭和期の国文学者、万葉学者、歌人であり、國學院大學の名誉教授、國學院大學栃木短期大学の名誉学長を務めた。文学博士。

富山県に生まれ、折口信夫に師事し、その薫陶を受けた。折口の没後も、その学問的遺産を継承・発展させ、門下五博士の一人として名を連ねる。彼の業績は、『高崎正秀著作集』（桜楓社、全8巻、1971年）にまとめられている。

略歴

1901年（明治34年）：富山県上新川郡太田村（現・富山市）に生まれる。
1919年（大正8年）：富山県立富山中学校（現・富山県立富山高等学校）を卒業。
1925年（大正14年）：國學院大學国文科を卒業。
1946年（昭和21年）：國學院大學教授に就任。
1950年（昭和25年）：「日本書紀神代巻宝剣出現之章の研究」により文学博士号を取得。
1959年（昭和34年）：新年歌御会始に陪席。
1966年（昭和41年）：國學院大學栃木短期大学教授に就任。
1969年（昭和44年）：國學院大學栃木短期大学学長に就任。
1972年（昭和47年）：正月の宮中歌御会始の儀にて召人を務める。
1973年（昭和48年）：勲三等瑞宝章を受章。
1978年（昭和53年）：國學院大學名誉教授となる。
1979年（昭和54年）：國學院大學栃木短期大学名誉学長となる。
1982年（昭和57年）：老衰と心不全のため逝去。

人物・エピソード

高崎正秀は、研究者としてだけでなく、教育者としても Studentsの育成に尽力した。学生に対しては、熱心に指導する一方で、学問に対する厳しさも持ち合わせていた。

酒豪としても知られ、晩酌を欠かさなかった。著書『酒徒随縁』には、酒にまつわるエッセイが収録されている。

國學院大學時代の卒業論文は「唱導文芸の発生と巫祝の生活」であり、折口信夫が主査、高野辰之が副査を務めた。博士論文は「日本書紀神代巻宝剣出現之章の研究」で、主査は折口信夫、副査は武田祐吉であった。戦時中の空襲で研究資料を焼失したため、博士論文は記憶と限られた資料に基づいて執筆された。

建国記念日制定に尽力したことでも知られる。1967年（昭和42年）には、建国記念日審議会に参考人として招かれ、民俗学の立場から建国記念日の制定を訴えた。その功績により、後に神社本庁から感謝状が贈られている。

1972年（昭和47年）の歌会始では、召人として「たたなはる 山青垣も かがよひて 今あらた代の 朝あけ来たる」という歌を詠んだ。

折口信夫とともに雑誌『白鳥』を創刊し、三矢重松の「源氏物語全講会」開設を支援。さらに、白鳥社主催の「万葉集三十回講座」を開設するなど、古典講座の普及に貢献した。これらの講座は、現在の國學院大學公開古典講座へと発展している。

短歌は川出麻須美に師事。作歌を始めた頃、折口信夫から「自己流でもそれを押し通せばそれが本流になる」という言葉を受け、それを生涯の指針とした。

温泉を愛し、よく山形へ湯治に出かけていた。また、越中おわら節を得意とした。

辞世は「八十路迎へて感深し生き生きて何にかくも生き長へし」。

門下生によって『高崎正秀百首』が編纂され、1981年（昭和56年）に刊行された。

参考文献

長野甞一「学者評判記」『解釈と鑑賞』第24巻第5号 1959年4月号
高崎正秀『酒徒随縁』桜楓社 1971年
小島瓔禮「餅を飛び石にした長者――高崎正秀先生の思い出」『國學院雑誌』第109巻第3号　2008年

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