高嶋みどり

髙嶋みどり：多様な表現を追求する作曲家

髙嶋みどり氏は、1954年4月20日に東京都で生まれました。幼少期からピアノに親しみ、音楽の道へ進みます。東京芸術大学、同大学院作曲科を修了後、作曲を石桁眞禮生氏と間宮芳生氏に、指揮法を山田一雄氏に師事し、その音楽的才能を開花させました。現在は、日本現代音楽協会や日本作曲家協議会の会員として活動しています。

合唱作品を中心とした活動

髙嶋氏は、日本合唱協会で指揮やピアノを担当した経験から、合唱作品を数多く手がけています。協会からの委嘱作品「愛のプロローグ」を発表後、NHK全国学校音楽コンクールの課題曲を数々作曲し、その名を広く知られるようになりました。代表的な課題曲には「この愛を」「遥かな時の彼方へと」「きょうの陽に」「めぐりあい」などがあります。

また、全国各地からの委嘱により、「かみさまへのてがみ」「青いメッセージ」「風に鳴る笛」といった合唱作品を発表。無伴奏混声合唱による交声詩「誰かが時を…」や、無伴奏女声合唱組曲「山中幻想」、無伴奏女声合唱曲「あなたが歌えと命じるときに」、そして無伴奏女声・混声合唱組曲「白鳥」など、多様な編成による合唱作品は、その豊かな音楽性と表現力で多くの人々を魅了しています。

劇場的な空間性を意識した作風

髙嶋氏の作品の特徴として、劇場的な空間性を意識したドラマティックな高揚感が挙げられます。「青いメッセージ」や近年の「無伴奏女声合唱曲『秋-相聞』」「無伴奏女声合唱曲『HYMN』」などは、その最たる例と言えるでしょう。土俗性と現代性を融合させた独特のリズム感と響きが印象的な「太鼓を叩け、笛を吹け」は、合唱作品の新たな可能性を示唆しました。

多岐にわたるジャンルへの挑戦

合唱作品以外にも、髙嶋氏は歌曲、室内楽、オーケストラ作品など幅広いジャンルで作曲活動を展開しています。大編成の作品としては、3人の歌手と管弦楽、電子音響による「オフィーリアの遺書…」が挙げられます。また、2002年には東京オペラシティにて室内楽作品展「Takashima Midori 2002」を開催、2008年には「管弦楽のためのBABYUNIVERSE 」、2010年には「15人の奏者のための BABY UNIVERSE」、2011年には「管弦楽のためのBABY UNIVERSE III」を発表するなど、ジャンルにとらわれない意欲的な活動を続けています。

出版・CD情報

髙嶋氏の作品は、音楽之友社、カワイ出版などから多数出版されています。主な出版作品としては「白鳥」「青いメッセージ」「若者たちの悲歌」「あなたが歌えと命じる時に」「秋-相聞」やピアノのための「マウイの風」などがあります。また、CD作品には「マウイの風」「誰かが時を…」「キャロルによるカノン」などがリリースされています。

代表作品

舞台作品
オフィーリアの遺書…3人の歌手と管弦楽、電子音響による（1985年）
合唱によるミュージカル『夢にこだまする』（2014年）
合唱によるオペラ『青春の十字架』

管弦楽曲
室内管弦楽のための「世俗的な二つの作品」（2000年）
室内管弦楽のための「DUST!DUST!!DUST!!!」（2002年）
管弦楽のための「Baby Universe」（2008年）
「Baby Universe II 〜15人の器楽奏者のための」（2010年）
「Baby Universe III 〜管弦楽のための」（2011年）

室内楽曲
ヴァイオリン ソロのための「うた」（2000年）
6人のリコーダー奏者のための「二つのバガテル」（2009年）
「Aria of Beats〜4人のチューバ奏者のための」（2010年）
「でゅえっと〜ソプラノとコントラバスのための」（2011年）
「湖畔にて・・・」〜　独奏ハープのための（2018年）
「想」〜フルートとコントラバスのための（2018年）

ピアノ曲
ピアノのための「Baby Universe」（1993年）
ピアノのための「マウイの風」（2002年）

歌曲
テノールとピアノのための「五つのパントン」（2009年）
テノールとピアノのための「うた〜谷川俊太郎詩集〈こころ〉によせて」（2014年）
「Con sentimento」メゾソプラノとテノールとピアノのための（2018年）
「星の破片（かけ）」メゾソプラノとバリトンとピアノのための（2019年）
「小督〜歌絵巻」メゾソプラノとテノールとピアノのための（2020年）

合唱曲
混声合唱組曲「愛のプロローグ」（1980年）
混声合唱組曲「かみさまへのてがみ」
混声合唱とピアノのための「感傷的な二つの奏鳴曲」
混声合唱組曲「風に鳴る笛」（1989）
無伴奏混声合唱のための「あなたが歌えと命じる時に」（1986年）
アポリネールの詩による四つの無伴奏混声合唱曲集「白鳥」（1990年）
混声三部合唱とピアノのための「魂のいちばんおいしいところ」（1995年）
無伴奏混声合唱のための「あらゆる草の葉には」（1996年）
無伴奏混声合唱のための交声詩「誰かが時を…」〜Cracking Eggs - 123 Quartrainsより（1996年）
混声合唱組曲「遥かな時の彼方へと」（1997年）
混声合唱とピアノのための「私は空に手を触れる」（2014年）
混声合唱とピアノのための「宇宙」（2003年）
無伴奏混声合唱曲「樹」（2004年 - 2015年）
混声合唱組曲「青いメッセージ」（2006年）
無伴奏混声合唱のための「若者たちの悲歌」（2009年）
混声合唱とピアノのための「おっとせい」（2014年）
混声合唱とピアノのための「木」（2016年）
無伴奏女声合唱のための「あなたが歌えと命じる時に」（1986年）
女声合唱とピアノのための「女の肖像」（1988年）
女声合唱のための無伴奏小品集「愛のとき」（1990年）
女声合唱組曲「時が語ってくれたこと」（1990年）
アポリネールの詩による四つの無伴奏女声合唱曲集「白鳥」（1990年）
短歌による無伴奏女声合唱曲集「待ち人ごっこ」（1994年）
女声（同声）合唱とピアノのための「しかられた神様」
女声（同声）合唱とピアノのための「イグアナのゆめ」
童声合唱とピアノのための「しずかにしてね」
女声合唱とピアノのための四季のうた「7つのバガテル」（1997年）
無伴奏女声合唱のための「山中幻想」（1998年）
女声合唱とピアノのためのメルヘン「すなの王国」（1999年）
女声合唱とピアノのための5つのメルヘン「あう」（2000年）
女声合唱とピアノのための「明日のりんご」（2001年）
女声合唱とピアノのための「秋のまんなかで」
無伴奏女声合唱のための「秋－相聞」（2006年）
無伴奏女声合唱のための「HYMN」（2007年）
無伴奏女声合唱のための「太鼓を叩け、笛をふけ」（2009年）
女声三部合唱とピアノのための「五つのパントン」（2009年）
無伴奏女声合唱のための「風の影・樹の影」（2012年）
無伴奏同声合唱のための「蘇れ、僕らの森よ」（2012年）
無伴奏女声合唱のための「おくめ」（2014年）
無伴奏女声合唱のための「すじ雲」（2016年）
男声合唱組曲「かみさまへのてがみ」（1982年）
男声合唱組曲「青いメッセージ」（1984年）
男声合唱とピアノのための「感傷的な二つの奏鳴曲」（1985年）
男声合唱組曲「遠い国」（1995年）
男声合唱とピアノのための「魂の木を想う、」（2012年）
男声合唱とピアノのための「おっとせい」（2015年）
無伴奏男声合唱のための「遠くへ」（2016年）

NHK全国学校音楽コンクール課題曲
この愛を（1990年）
遥かな時の彼方へと（1995年）
きょうの陽に（2001年）
めぐりあい（2007年）

全体合唱のための作品
女声又は混声又は男声合唱による二部合唱とピアノのための「いろはうた」
女声又は混声又は男声合唱による二部合唱とピアノのための「遠くへ」

編曲
女声（同声）合唱とピアノのための「四季三昧」
女声（同声）合唱とピアノのための「キャロルによるカノン」

髙嶋みどり氏は、合唱音楽の分野において、その独特な感性と卓越した作曲技法で、多くの人々に感動を与え続けています。今後も、その活躍から目が離せません。

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