高昌故城

高昌故城は、新疆ウイグル自治区トルファン市郊外、火焔山の南麓に位置する古代都市の遺跡です。ウイグル語ではカラホジャとも呼ばれ、かつて高昌国の首都として栄華を誇りました。

この都市の歴史は、紀元前1世紀に西漢王朝の屯田軍によって建設されたことに始まります。当時、この地は旧姑師国の一部であり、屯田軍の駐屯地として都市が築かれたと考えられています。その後、高昌国が成立すると、その中心都市として発展し、シルクロードの重要な中継地として、多くの商人や旅人が行き交いました。

高昌故城は、東西約5.4キロメートル、南北約5キロメートルにも及ぶ広大な面積を有しており、城壁や寺院、官庁、住居跡などが残っています。特に、仏教寺院の遺跡からは、壁画や仏像が発見されており、当時の仏教文化の隆盛を物語っています。

また、高昌故城は、様々な民族や文化が交わる場所でもありました。漢民族をはじめ、ウイグル族、ソグド人など、多くの民族がこの地に暮らしており、それぞれの文化が混ざり合いながら、独自の文化が形成されていきました。

しかし、13世紀末にはモンゴル帝国軍の侵攻を受け、高昌故城は破壊され、放棄されました。その後、長い年月を経て、都市は廃墟と化しましたが、その遺跡は、今もなお、往時の繁栄を物語っています。

1961年、高昌故城は中華人民共和国の全国重点文物保護単位に指定され、その歴史的価値が認められました。さらに、2014年には、シルクロード:長安-天山回廊の交易路網の一部として、ユネスコの世界遺産に登録され、国際的にも重要な文化遺産として保護されることになりました。

高昌故城は、その歴史的・文化的な価値から、多くの観光客や研究者を惹きつけています。遺跡を訪れる人々は、かつてのシルクロードの栄華に思いを馳せ、古代都市のロマンを感じることができるでしょう。

なお、トルファン市には、高昌故城の他にも、交河故城という古代都市の遺跡があります。こちらもシルクロードの重要な拠点として栄えた都市であり、高昌故城と合わせて訪れることで、より深くシルクロードの歴史と文化を理解することができるでしょう。

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